諸外国のキリスト教会の見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 15:40 UTC 版)
「パレスチナのキリスト教」の記事における「諸外国のキリスト教会の見解」の解説
世界のキリスト教諸教派の一部、特に米国の福音派プロテスタントなど原理主義的傾向の強い教会は、多くがいわゆる「旧教」(東方教会、カトリック教会など)の信徒であるパレスチナ人キリスト教徒の実情には無関心で、イスラエルのユダヤ教徒との交流を深めたり、反イスラーム的姿勢、またイスラエル政府をえこひいきするような論調を取って(このような姿勢は「クリスチャン・シオニズム」と呼ばれる)、結果的にはイスラエル政府によるパレスチナ人抑圧に加担している。 .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}(2020年)8月13日、世界に歓喜が走るような明るいニュースが流れた。米国の仲介のもとイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交樹立の取り決めがなされたのだ。……今回の合意には米福音派の影響があったことをトランプ大統領は隠さなかった。米国人の30〜35%が福音派信者といわれるが、ピューリサーチセンターの最新の調査によれば、その72%がトランプ大統領のイスラエル・パレスチナ間の中東政策には偏りがないと見ている。それら福音派の人々の大半は、イスラエルの建国は終末時代の聖書預言の成就と捉えているのだ。……中東でイスラエルの存在を認めつつ和平が進行しており、このために祈ってきた世界中の聖書的キリスト者は大いに喜んでいる。イサクとイシュマエル、アブラハムの末たる彼らの救霊と和解がさらに進むよう祈っていただきたい。 —クリスチャントゥデイ-2020年9月4日 このような動向に対して、パレスチナ政府と多くのパレスチナ人は、イスラエルによるパレスチナ自治区の占領と分断、そしてパレスチナ人に対する抑圧を黙認・助長することにつながる、実利を優先した「同朋の裏切り行為」であると捉えて反感を持っている。 一方で、パレスチナ人信徒を大勢抱えるカトリック教会は、近現代の歴代ローマ教皇たちがシオニズム批判を大々的に行ってきた。バチカン市国は1993年までイスラエルと国交がなかった。また、この地にアングリカン・コミュニオンの管区・教区を持つ聖公会も、パレスチナ人に対して同情的な姿勢を取ることが多い。 なお、イスラエルや諸外国のユダヤ人の間でも、シオニズムに対する見解は様々で、ユダヤ教超正統派(ハレーディーム)と呼ばれる人々を中心に、シオニズムとイスラエル政府に対する批判的見解が少なからずある。いわく、イスラエル国家の再建があるとすれば、それは完全に神の摂理によって、すなわちメシアの到来によって為されるべきことであり、政治的・武力的手段によって(ことに、世俗的なユダヤ人が中心となって)建てられた現イスラエル国は「反メシア的」であるという見解である。
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