試製拳銃付軍刀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 08:29 UTC 版)
南部式自動拳銃に軍刀の刀身を取り付けた変形拳銃の一種。騎兵用刀剣拳銃とも呼ばれ、アメリカ陸軍兵器博物館ではJAPANESE OFFICER'S SWORD PISTOLとして展示されている。 この拳銃は、三八式騎銃から四四式騎銃への過渡期に試作されたもので、射撃から斬り合いへ素早く移行できるよう、三十二年式軍刀甲の柄部分に南部式自動拳銃のグリップ部分を一体化させている。基本となった拳銃はベビー南部とされ、様々な改良が施されており、握りやすいようグリップが延長された他、グリップパネルは鋳物により製作されている。また、用心金も存在しない。グリップの延長線上に刀身が存在する。抜刀した状態で弾倉の交換ができる。この試作品は4振作られたが、扱いに難があるのに加えて故障が頻発した。これは関東大震災で焼失したが、その後研究は再開し十四年式拳銃をベースにしたものが3振作られた。こちらも実用性に疑問が残り、1929年(昭和4年)に研究は中止された。試作品の中には用心鉄をサーベルの護拳の様に伸ばしたものもあった。 開発には南部麒次郎が関わっていたとされるが、実際には定かではない。使用感に関しては、拳銃として使用するには刀身が斜め前方に延びていることと、拳銃自体の重量が過多であることが合わさり構えづらい。そのため純粋な拳銃としてよりも、敵との斬り合いにおける鍔迫り合いの時に、相手の胸に発砲するよう作られている。 なお、拳銃と刀剣を融合させた武器はヨーロッパに多く、火縄銃の時代から様々な国、発明家のもとで開発されてきたが、自動拳銃を基本としたものは世界的にも類を見ないとされる。日本においてもこの拳銃が開発される以前の1894年(明治27年)3月に、東京在住の藤原政治により、刀剣拳銃という特許(2183号)が認定されている。装弾数6発のリボルバー拳銃を軍刀の柄に組み合わせたものだが、特に量産されずに終わっている。
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