計画とその成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/04 22:51 UTC 版)
もし、たんぽぽ計画により地球低軌道(高度400キロメートル)において微生物が検出されれば、その事実は地球上の生命が他の惑星へと移動する可能性があることを示す。計画名は、宇宙へ飛んでいく生命の種を、風に運ばれるたんぽぽの種に重ね合わせて命名されている。 たんぽぽ計画は、ISSのきぼう実験棟船外実験モジュールにて行なわれている。宇宙塵の捕集と乾燥した微生物を地表から高度400キロメートルの軌道を周回するISSの船外に曝露する実験が進行中である。生命の起源は地球外にあり、流星、小惑星、彗星、宇宙塵などにより拡散したとする仮説、パンスペルミア説のいくつかの側面をこれらの実験により検証する予定である。この計画では、地球上の微生物(微生物コロニーを埋め込んだエアロゾル)が、一時的にでもフリーズドライ状態で低軌道上において生存できるかどうかも検証する。 三つの重要な微生物として、デイノコッカス属(英語版)の D. radiodurans、 D. aerius、D. aetherius が挙げられる。酵母などの他の微生物の容器もきぼう実験棟外部に設置され、微生物が宇宙空間の冷たく厳しい環境に曝されながら長時間の旅を生き残ることができるのかどうかを検証する。また、曝露された地球上の微生物のサンプルと地球外からの物質を評価することで、惑星間移動の期間中に生き残ることができるのか、及び、どのように変化するのかを調べることができる。 2017年5月に公表された報告では、4種類の細菌を含むバイオフィルムを穴に入れたアルミニウム製パネル3枚をISS外壁に2015年5月に設置し、宇宙空間に晒した。うち1枚を約1年後に取り外して地球に持ち帰り分析したところ、宇宙線に含まれる放射線や紫外線への耐性が強い上記のデイノコッカス・ラディオデュランス(D. radiodurans)など3種類が、最大10%程度生き延びたことが確認された。 加えて、宇宙を漂う前生物的有機化合物(例えばアミノ酸)を捕える狙いもある。計画では、3年間にわたって宇宙塵やその他の粒子をエアロゲルと呼ばれる超低密度シリカゲルを用いて捕集することになっている。これらのエアロゲルは、2018年まで1~2年ごとに取り替えられることになっている。
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