視程の変化とその原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 10:11 UTC 版)
視程が通常より小さくなることを気象学では特に視程障害といい、代表的なものに霧、靄、霞、雪、煙霧、黄砂などがある。雨や雪でも視程障害がよく起こるが、人工的に排出される大気汚染物質(粒子状物質)の影響も大きい。これらの条件で見えなくなる状態として、霧や風雪で見えなくなるホワイトアウト・砂煙で見えなくなるブラウンアウトがある。 視程が低下すると、航空機の運航などに支障が出る場合がある。著しく低下した場合、視界が悪くなるため自動車や徒歩での移動にも支障が出、公共交通機関に大きな影響が出始める。視程が数10 m - 数 mと狭くなると、屋外のイベントやスポーツなどに深刻な影響が出て、あらゆる移動手段において衝突事故の危険があるため屋外での移動は困難になる。 足場が悪い山岳や海洋などで視程が悪くなった場合は、遭難や転落、船の転覆などの重大な事故の危険性がある。山岳や海洋で視程障害が予想される場合は、通信機器やレーダーなどが必要となる。 視程障害の原因 降水 - 雨、雪、霰、雹、霙などの降水や、地上に達しない降水である尾流雲が視界を遮る。雨や雪などがひどいほど視程も悪い。細氷(ダイヤモンドダスト)も降水なのでこれに含まれる。 霧・靄 - 雲(水の微粒子)が地上や海上(厳密には視程の観測地点)を覆って、雲に含まれる微粒子が視界を遮る。霧の微粒子が凍結した氷霧も含まれる。霧は視程が1 km未満、靄は1 km以上10 km未満(いずれも日本の規定、他国および航空用途では異なる)であり、視程により現象が定義されている。これより薄い場合も多い。 地吹雪 - 地面に積もった雪が舞い上がって視界を遮る。降っている雪も一緒に舞うことが多い。 煙霧 - 煙、煤、塵、埃、砂、海塩・湖塩粒子(海のしぶきや塩土の舞い上がりによるもの)、火山灰などの空気中のさまざまな微粒子(エアロゾル)が視界を遮る。工場や自動車などからの粉塵や煤煙(粒子状物質)が多いところ、森林火災の発生時、砂塵嵐の発生時、火山の噴火時、荒天による波浪時などに多くなる。日本では、視程が10 km未満のものは煙霧、2 km未満のものはちり煙霧、砂塵の影響で1 km未満のものは砂じんあらしと定義されている。 なお、霧と煙霧が同時に発生しているものをスモッグという。気象観測では霧に含める。 砂嵐、黄砂(ブラウンアウト)
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