複雑部分発作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:21 UTC 版)
複雑部分発作は意識障害を伴い、あとで健忘を残す。単純部分発作で始まり、途中から意識障害を起こす場合と最初から意識障害を伴う場合がある。精神運動発作とほぼ同義であるが、一部重ならない点もある。複雑部分発作は、側頭部あるいは前頭、側頭部の皮質、皮質下領域(嗅脳、辺縁系を含む)の一側性または両側性の損傷によって発生する。側頭葉てんかんとも関連する。 発作中に話しかけても、患者は応答できない。発作の持続時間は2~3分程度である。多少なりともまとまっているものの、適切な目的性を欠く一連の動作、表情、行動が不随意的、無意識に生じることがあり、「自動症」と呼ばれる。代表的なものは、舌なめずりや舌打ち、もぐもぐと口を動かす、ごくんと飲み込むといった口部自動症である。そのほか、顔や身体をなでたり、こすったり、衣服をまさぐったり、手をもんだりの身ぶり自動症もある。自動症は、複雑部分発作中あるいは発作後もうろう状態に認められ、患者本人はその記憶がないか、あっても断片的、部分的である。てんかん活動が基底核に伝播することで発作起始側と対側上肢にジストニア肢位をきたす。約80%は発作起始焦点が側頭葉にあるが、隣接部位から側頭葉へのてんかん活動の伝播でも生じる。前頭葉に起始焦点のある複雑部分発作について、側頭葉起始発作と比較すると、発作持続時間が短い、激しい自動症をきたす、発作頻度が多いの特徴がある。 側頭葉てんかんでは、発作発射が側頭葉皮質、島の皮質から辺縁系(海馬、扁桃体)にいたる投射路を限局性に侵襲すると単純部分発作、すなわち精神発作(錯覚、幻覚)が出現する。これを「外側側頭葉発作」という。発射が辺縁系に広がると複雑部分発作とくに自動症を伴うことになる。これを「扁桃体・海馬発作」という。複雑部分発作の発作間欠期の脳波は、一側性、あるいは両側性、大抵は非同期性の焦点があり、焦点は側頭部あるいは前頭部に出現する。発作時脳波は一側性の、あるいは両側性の発射で、広汎性あるいは側頭部、側頭・前頭部に焦点性に出現する。
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複雑部分発作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 08:55 UTC 版)
複雑部分発作は意識障害を伴い、あとに健忘を残す発作である。単純部分発作ではじまり、途中から意識障害を起こす場合と最初から意識障害を伴う場合がある。精神運動発作とほぼ同義であるが一部重ならない点もある。複雑部分発作はふつうは側頭部あるいは前頭、側頭部の皮質、皮質下領域(嗅脳、辺縁系を含む)の一側性または両側性の損傷によっておこる。側頭葉てんかんとの関連が重要である。側頭葉てんかんでは発作発射が側頭葉皮質、島などの皮質から辺縁系(海馬、扁桃体)にいたる投射路を限局性に侵襲すると単純部分発作、すなわち精神発作(錯覚、幻覚)などが出現する。これを外側側頭葉発作という。発射が辺縁系に広がると複雑部分発作とくに自動症を伴うことになる。これを扁桃体・海馬発作という。複雑部分発作の発作間欠期の脳波は一側性あるいは両側性の、ふつうは非同期性の焦点があり、焦点はふつうは側頭部あるいは前頭部に出現する。発作時脳波は一側性の、あるいは両側性の発射で広汎性あるいは側頭部、側頭・前頭部に焦点性に出現する。
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