複雑系問題 (マクロ視点)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 08:10 UTC 版)
「ムペンバ効果」の記事における「複雑系問題 (マクロ視点)」の解説
冷却の過程にある水の状態を温度という単一のパラメーターで記述してよいかどうか、という問題も存在する。より正確な記述のためには水における温度分布を考える必要がある。モンウェア・ジェン (Monwhea Jeng) はこの問題に関して「解析は大変複雑になる。なぜなら我々は温度という単一のパラメーターではなく温度場を考えることになり、さらに解析に必要な数値流体力学が非常に込み入っているからである」と書いた。 この効果は熱伝導の問題であり、連続体力学に基づいた輸送現象の観点からの研究が適している。熱輸送を偏微分方程式で解析する場合、系の挙動を記述するためには水の平均温度など少数のパラメーターを与えるだけでは一般には不十分である。系の幾何学的な詳細や流体の特性、温度場や流れ場などといった多様な条件が系の挙動に極めて複雑に影響を与えうるからである。単純化された熱力学のみに基づいて分析する限りムペンバ効果は直感に反するように思われるが、このことは物理学の問題へのアプローチに際して適切な変数を全て考慮して最も適した理論的道具立てを用いることの必要性を例証している。
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