複雑系の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 18:53 UTC 版)
複雑系は以下のような特徴を示す。 境界の決定は困難である 複雑系の境界を決定することは難しい。その判断はつまるところ観測者によって成されるのである。 複雑系は開いた系となりうる 複雑系は開いた系となるのが普通である。つまり、そこには熱力学的傾斜とエネルギーの散逸がある。複雑系はエネルギー平衡から程遠いことがよくある、ということもできる。しかし、散逸は不安定でパターン安定性を持ちうる。シナジェティックを参照。 複雑系は記録を持ちうる 複雑系では系の変化の履歴も重要である。なぜなら、力学系は時間とともに変化する力学系であって、以前の状態が現在の状態に影響を及ぼし得るからである。もっときちんと言えば、複雑系はしばしばヒステリシスを示す。 複雑系は入れ子にしうる 複雑系の要素はそれ自身複雑系であることも可能である。例えば経済は、細胞を集めて成り立つ人間の集まりで成り立つ組織の集まりから成り立つ(細胞も人間も組織もいずれも複雑系である)。 動的ネットワークの多様性 カップリング規則と同様、複雑系の動的ネットワークも重要である。スモールワールドネットワークやスケールフリーネットワーク は、多数の地域交流 (local interaction) とわずかの地域間接続 (inter-area connection) を採用するネットワークである。自然界の複雑系はしばしばこの形の位相を示す。例えば、人間の大脳皮質では、びっしり詰まった局所的な繋がりと、わずかの非常に長い軸索が内部領域から脳のほかの領域へ突き出ている様子を見ることができる。 創発現象を発現し得る 複雑系は創発であるような挙動を示すことがある。これは、結果については系の基本的な要素の活動によって十分に決定できるが、より高い階層においてのみ研究することができる性質を持ちうるということである。例えば土塁にいるシロアリは、ある分析のレベルでは生理学的、生物化学的、生物学的に発展するが、シロアリの社会的挙動および土塁の構造物はシロアリの集団からの創発性を持ち、異なるレベルでの分析を必要とする。 非線型力学系との関係 俗な言い方をすれば、これは小さな摂動が大きな影響を与えたり(バタフライ効果を参照)、比例的な効果だったり、全然効果が無かったりするということである。線型力学系であれば効果は「常に」比例的な効果を直接に引き起こす。非線型性を参照。 関係がフィードバックループを含む 複雑系においては、負の(効果を殺ぐ)フィードバックも正の(効果を増す)フィードバックもどちらも常に見つかる。一つの要素の振舞いの効果は、要素自身が変化を与えられたその方法へフィードバックされる。
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