菜食者を対象とした研究報告
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 00:36 UTC 版)
「菜食主義」の記事における「菜食者を対象とした研究報告」の解説
鈴木英鷹と渡部由美による「菜食者18名を対象とした研究において、菜食者の44%がタンパク質必要量を摂取しておらず、エネルギー、その他の栄養素が顕著に低い。なお、国民栄養調査における同年代のタンパク質平均充足率は不足していない。 インドで外来患者4680人を対象にした5年間にわたる調査において、ビタミンB12レベルが低い患者の大半がベジタリアンであり、ベジタリアンが心疾患や脳梗塞 など発症するリスクは非ベジタリアンの約4倍である。医師は、「非ベジタリアン食を推奨しているわけではない。しかしこれは研究結果であり、ベジタリアンである人々はビタミンB12サプリメントを飲む必要がある」とコメントしている。 オーストラリアとベトナムが2,700人を対象にした調査では、ベジタリアンの骨密度は、肉食者に比べて平均で5%低い。ただし、ガーバン医学研究所のトゥアン・グエンは、「骨密度と骨折リスクの関係は不明」としながらも、「欧米のベジタリアン人口は全人口の約5%を占め、その数は増え続けている。また、骨粗鬆症患者の数も世界的に増加傾向にあり、調査結果は考慮に値する」というコメントや、「厳格な菜食主義であるヴィーガンのほうが骨密度が低いが骨折率は高いわけではなく、健康を意識している傾向がある。また全体的にみればベジタリアンは長生きで、高血圧と心臓病リスクが低い傾向がある」とコメントしている。 1年間の完全菜食を行った研究報告によれば、試験期間中に脂質濃度、甲状腺ホルモン濃度、貧血、低タンパク血症などの異常は起こさなかった。開始から6か月程度で基礎代謝低下や食事誘導熱生産の減少、心拍数、体重などが安定し、低タンパク質食への適応反応が整ったものと考えられている。これは、尿・便へのタンパク質排出量が減少するなどのほかに、腸内細菌によってアンモニアに分解された尿素態窒素を身体のタンパク質材料として利用している可能性が指摘されているが、適応機構の詳細は未解明である。
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