芝祐靖と『秋庭歌』
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800年以上続く雅楽の家系に生まれ宮内庁の楽師となった芝祐靖(しば すけやす)は、龍笛奏者として『秋庭歌』の初演やその後の海外公演に携わったが、それまでの無表情に淡々と演奏される雅楽と違う音楽の在り方に衝撃を受けるとともに、作品の奥深さに魅了された。作曲家でもあった芝は1979年に、雅楽の演奏団体である十二音会から新作雅楽の委嘱を受けると、その頃初演に向けて練習していた『秋庭歌一具』のような作品を書きたいと思い、7曲からなる組曲『招杜羅紫苑』(しょうとらしおん)を作曲した(1980年完成)。 芝はさらに1984年、49歳の時に宮内庁楽部を退官し、翌1985年には『秋庭歌』のより良い演奏を目指して笙の宮田まゆみ、篳篥の八百谷啓ら民間の有志とともに伶楽舎を設立した。芝自身が述べているように、『秋庭歌』という作品は一人の楽師の人生を大きく変えることになった。 芝が音楽監督を務める伶楽舎が実際に『秋庭歌』を演奏するまでには約10年の歳月を要したが、1994年9月の八ヶ岳高原音楽祭での演奏を皮切りとして、明治神宮宝物館前広場(1995年10月)、 タングルウッド音楽祭及びニューヨークのリンカーンセンター(1996年7月)など、伶楽舎は内外で数多く『秋庭歌一具』を再演した。伶楽舎による『秋庭歌一具』の演奏には定評があり、2001年5月8日にサントリーホールにおいて行った自主演奏会「武満徹の音楽 『秋庭歌一具』」は同年度の中島健蔵音楽賞特別賞を受賞し、演奏会に先立ってサントリーホールでセッション録音されたCDは、2002年度(第57回)文化庁芸術祭レコード部門優秀賞を受賞した。また、2016年11月に行った「伶楽舎第13回雅楽演奏会~武満徹 秋庭歌一具」はサントリー芸術財団の第16回佐治敬三賞を受賞している。
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