船舶による国内各港への二次輸送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 05:55 UTC 版)
「日本のコンテナ輸送」の記事における「船舶による国内各港への二次輸送」の解説
日本の港湾は、全国的に埠頭の水深が浅い地区が多く、この影響によりパナマ運河を通行できるパナマックス船のほか、急速に世界的な流れになってきている、2万TEU級のコンテナを積載した船が接岸できる港の整備が、競争相手の諸外国と比べ遅れている。そのため昭和時代には世界有数のコンテナ取り扱いをしていたが、近年大きく後退している。そこで国がスーパー中枢港湾を指定し、手厚い支援により従来の1万TEU級の大型コンテナ船が接岸できる目安であった水深14 m(メートル)よりも、さらに深い18 m級の大水深埠頭の整備を行ったり、各種の規制を緩和した。その上でこれらの港を拠点として、全国各地に散らばる大小さまざまなコンテナ港の間で、数十個 - 数百個程度を積載できる中小の内航船 (内航フィーダー船) により、二次的に再輸送するという構想である。 またこのような大規模な二次輸送計画のほかに、従来からある多くの地方港で開設されている国際航路では、例えばアジア地区への航路はあるが、欧米向けの航路が無く欧米との輸出入が直接できない、あるいはひとつの定期航路が一週間又は、数週間に一便しか寄港しないなどの事例もある。さらに、厳しい物流環境下の一部の港では、管轄する自治体が「寄港時の最低積載個数(輸出用)として、●●個は集める」との条件で誘致するも、諸般の事情で達成出来ない環境が続いた場合には、時に運行会社からの申し出で一時的に航路休止または、航路廃止などに陥る場合もあるなどのリスクも常に抱えている。このように地方港では、輸出入の大幅な制約やリスクがあるなどの弊害も多く、活発な物流ができない地域も珍しくない。そこで、これらの弊害を解消するためのひとつの手段として、地方港で海上コンテナが流通し始めると同時に、それぞれの物流事情に合わせて大規模港向けの二次輸送以外にも、地方港同士を結ぶ定期または不定期運行の内航フィーダー船も頻繁に利用されて、日本全国の海上物流網が構築されている。 さらに極端な事例では、東京湾内で行われている横浜地区の各埠頭から対岸の千葉県側の埠頭間の短距離を、艀(はしけ)などに数十個程度の小口となるコンテナを載せて輸送されている。これは、東京湾岸の幹線道路が日常的に停滞しているために、増え続けるコンテナを陸路では円滑に運べずに滞っている物量の迂回路と、大型けん引免許を保有しているドライバー不足に対する、苦肉の策として行われていて、関係自治体からは各種の運賃補助などの手厚い支援策も行われている。また東京湾地区以外の一部の地方主要港でも、同様およびCO2排出削減に向けたモーダルシフトでの陸上コンテナ輸送の環境改善のために、内航船(艀も含む)への輸送シフトに際して、条件付ながらも輸送費の一部を負担している地区もある。 ウィキメディア・コモンズには、日本国内のコンテナターミナルと、荷役機器類に関するメディアがあります。
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