航路・領域などを巡る動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 06:01 UTC 版)
現代で言う北極圏を含めて大西洋を船で北上する試みは古代・中世ヨーロッパから繰り返され、アイスランドやグリーンランドへの入植、探検、経済活動(貿易や捕鯨などの漁業)が行われた。 詳細は「北西航路」および「北極海航路」を参照 現代において、北極はこの圏に位置する国家にとって重要な航路となっており、夏場は商業目的で北極海が重要ルートとして利用されている。現在、地球温暖化による影響もからみ、航行可能期間はこれまでより長くなる傾向にあり、2030年頃には夏に氷海がなくなる可能性があるとされる。それによって北極航路の通年開通が現実性を帯び、物流のコストも従来に比べて格段に安くなるなどのメリットが出はじめている。 現時点で東アジアと欧州を往来する船の大半は、スエズ運河経由の航路を利用している。この航路を北極海の航路に変えると、航海距離は約3分の2に短縮され、航行時間も約1ヶ月と約10日ほど短くなる。このため燃料消費量が最大50%削減できるとされ、二酸化炭素や窒素酸化物の排出削減にも繋がる利点がある。また現今においては中東情勢に絡んだ問題もあり、その緊迫化という政治リスクを低減できることも大きい。 だが、北極開発は自由に行えるわけではない。国際海洋法に基づいて5沿岸国(アラスカ州を領有するアメリカ合衆国、ロシア、カナダ、グリーンランドを領有するデンマーク、ノルウェー)が主権を主張し、排他的経済水域(EEZ)や大陸棚を主張・設定している。EEZ内での開発には主権国家の同意が必要になる。安全保障上の問題では、航行の自由を主張するアメリカに対して、自国沿岸の管轄権行使を主張する他の沿岸国との対立が続いており、法的規範も現状ではまだ整っていない。 また北極はソ連とアメリカなど西側諸国の冷戦以降、軍事的な対峙の場ともなっている。
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