自我状態モデル(Parent-Adult-Child, PAC)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 21:25 UTC 版)
「交流分析」の記事における「自我状態モデル(Parent-Adult-Child, PAC)」の解説
バーンは、精神が子供の頃の経験によって形作られるP(Parent)、A(Adult)、C(Child)の3つの自我状態があると仮定した(PACモデル)。 どのような場合においても、人は体験を行い、行動、考え、感情を混合させながら、個性を表現する。交流分析によれば、一般的に、人々は3つの自我状態のいずれかにいる。 P(Parent):これは人々が、無意識のうちに両親(または親の代わりとなるもの)の行動パターンを模倣をして、行動し、感じ、思考する状態。例えば、影響力のある人が怒鳴りつけているのを見て、それが有効であると幼い頃に学んでいたら、その人も欲求不満から人を怒鳴りつけるかもしれないことが挙げられる。 A(Adult):これは、「今-ここ」でどのようなことが起きているのかについて人々が行動し、感じ、冷静に思考する状態。この状態では、長年生きてきた大人としての人間の経験、知識が活かされ、人を行動させる。このA(Adult)の自我状態では、自身は、現実における客観的な評価の対象として見られる。 C(Child):これは人が子供の頃にどのように振舞ったかと同じように、行動し、感じ、思考する状態。例えば、上司から怒られている人は、まるで子供の頃に行ったように、その上司を見下し、屈辱や怒りを覚えるかもしれないであろう。 また、それぞれの状態は更に分割される。親の象徴は通常、養育的な親(NP:NurturingParent)(寛容的、保護的)か、規範的な親(CP:CriticalParent)のどちらかである。子供の行動は、自由な子供(FC:FreeChild/NaturalChild)(自然奔放)か、他者順応な子供(AC:AdaptedChild)のどちらかである。それぞれの状態は、個人の行動、感情、思考において影響を与え、有益的(積極的)または、破滅的/反生産的(悲観的)になるといえる。 「エゴグラム」も参照 交流分析の自我状態をフロイトの自我(A)、イド(C)、超自我(P)と対比されることが多いが、2つの理論は異なる。交流分析の自我状態は、(1)フロイトの言う自我の説明である、(2)フロイトの仮説モデルと異なり観察が可能である。つまり、対話を行う相手の特定の自我状態は、外部からの観察によって決定することができる。また、自我状態は、それぞれの自我状態においての行動において、直接的に思考、感情、判断に対応するものではない。 自我状態は普遍的なものではない。すなわち、それぞれの自我状態は、個別にかつ明白に、個々人を表すものである。例えば、C(Child)の自我状態は、特定の人間の個性であり、一般的な子供の状態ではなく、子供の頃に作られた性格を表すものである。
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