自家受粉・自家受精を防ぐ機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 14:35 UTC 版)
「受粉」の記事における「自家受粉・自家受精を防ぐ機構」の解説
自家不和合性 受粉した花粉が受精することができる性質を和合性と呼ぶ。一般には、両親が遠縁であるほど受精の成功率が低く、逆に近いほど高くなる傾向にある。このような現象は異種間の生殖的隔離の役割を果たしている。受粉しても子孫を残せない性質は不和合性と呼ばれ、花粉管の不発芽、花粉管の伸長停止、受精胚の崩壊などが観察される。また、種子が得られ発芽に至る場合でも実生が正常に発育しない場合も含め広義の不和合性とする場合もある[要出典]。 同一植物種内においても自家受粉を阻害するような不和合性が観察されることがあり、自家不和合性と呼ばれている。近親交配を阻止し、遺伝的な多様性を確保するための機構であると考えられている。自家不和合性は同形花型(胞子体型および配偶子型)、異形花型に分けられる。 雌雄異熟 雌雄異熟とは、一つの株の中の雌性器官あるいは雌性花の受粉可能時期と、雄性器官あるいは雄性花の花粉放出時期が異なる現象である。雌性器官あるいは雌性花が先に受粉可能になることを雌性先熟、雄性器官あるいは雄性花が先に花粉を放出できる状態になる場合を雄性先熟という。雌蕊と雄蕊が成熟する時期が異なることで、自花受粉を避ける機構として機能している。但し通常一つの植物には複数の花が咲くから、異なる花の間での自家受粉は可能となることがある。 異形花柱性 両性花の中には個体によって雌蕊や雄蕊の形が異なる異形花柱性をもつものがある。例えばサクラソウやソバには2種類の花(二形花)があり、ミソハギには3種類の花(三形花)がある。これらの花では同じ形の花同士での受精が成立しないため、結果的に異なる形状の花同士で受粉したものが次の世代を残すため、他家受粉が促進される。雌雄異株よりも受粉が成功しやすいことが指摘されている。 雌雄異株 イチョウ・スイバ・アオキなど雄花と雌花が着く個体が異なる植物では、必然的に他家受粉が行われる。多年草および木本植物にみられ、1年草では観察されない。
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