自動車のバンパー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 07:43 UTC 版)
いくつかの理由から分割式バンパーを採用した例。3代目初期型ホンダ・シティは製造(輸送)コスト低減を目的に、トヨタ・ジャパンタクシーは破損時の修理コスト低減を目的に左右・センターの3ピース構造を採用している。 乗用車の場合は基本的にボディの前後に取り付けられる。素材は鉄、ポリプロピレン、FRP、カーボンファイバーなど多様な素材が用いられ、金属系の素材はメッキ、樹脂系の素材は塗装により表面を加工されていることが多い。ボディを軽度の衝突から守るというのが本来の目的であったため1980年代前半まではボディから容易に取り外しが可能な金属製で棒状の形状をした物が一般的であったが、その後スタイリングや空気抵抗の低減を意識したデザインが激増し、1990年代にはほとんどが樹脂製となりボディと同色の塗装が施される、ライト類が埋め込まれる、ボディと一体化している等「軽度の衝突から守る」という目的にそぐわない形状が一般的となった。近年は歩行者を跳ねてしまった場合の安全対策も求められるようになった。 金属製タイプは強固で多少の衝突なら傷が付く程度で変形しなかったり、変形したとしても容易に板金修理が可能であったが、反面、場所によっては変形したバンパー本体がボディーに干渉し塗膜を傷つける事があった。そのためコーナー部に樹脂性のブロックを配置し干渉時の攻撃性を弱める工夫がされ、加えて昭和50年代半ば位から金属素材に復元性を持たせる事で対策を施した。 樹脂製のタイプは軽度の衝突でも割れたり、塗装が剥がれたりして容易に修理ができず、修理の際は丸ごと交換することが多かった。特に初期に用いられたウレタンバンパーは軽度の接触の際にはその柔軟性を生かして復元出来るメリットがあったが表面の樹脂部に損傷が生じた場合、当時は修理できず廃棄となることが多くダストの処理が社会問題化した。この為、樹脂素材の修理技術研究開発や交換等で廃棄された樹脂バンパーのリサイクルが試みられ、実用化に至っている。 また変わった例では三菱・パジェロミニやダイハツ・ネイキッド、トヨタ・ジャパンタクシー、3代目(東南アジア向け)初期型ホンダ・シティ(以上左右・センターの3ピース)、トヨタ・コンフォート(上下2ピース)のように分割可能な構造にし、輸送時や修理時のコスト削減を企図した例もある。
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