職務上の義務および禁止事項等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 02:01 UTC 版)
「社会保険労務士」の記事における「職務上の義務および禁止事項等」の解説
社会保険労務士は、常に品位を保持し、法令実務に精通し、公正な立場で誠実に業務を行わなければならない(第1条の2)。また、所属社会保険労務士会の会則を守らなければならない(第25条の30)。 社会保険労務士は、社会保険労務士会および全国社会保険労務士会連合会(連合会)が行う研修を受け、その資質の向上を図るよう努めなければならない(第16条の3)。なお法により努力義務が課せられている研修は「社会保険労務士会」および「連合会」が行う研修のみであるので、行政機関その他各種団体が行う研修についてまで努力義務が課せられているのではない。 社会保険労務士は、国または地方公共団体の公務員として職務上取り扱った事件および仲裁手続により仲裁人として取り扱った事件については、その業務を行ってはならない(第22条)。 社会保険労務士または社会保険労務士法人は、事務を受任しようとする場合には、あらかじめ依頼者に対し報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならない(施行規則第12条の10)。依頼の誘致に際し、業務内容・報酬その他重要事項について不実を告げ、または故意に事実を告げない行為その他不正不当行為をしてはならない(施行規則第12条の11)。 2003年の法改正前は連合会が定める報酬基準を基に各都道府県社会保険労務士会が報酬の基準額を定めていたが、法改正後は規制緩和の一環として他士業者と共に自由化され、報酬額は社会保険労務士の事務所ごとに異なる。もっとも、2021年時点においては、大規模な組織力で価格競争を仕掛けられる社会保険労務士法人はごく一部で、多くの社会保険労務士法人は規制緩和前の水準とほぼ変わらないまま運営しているのが実情である。 社会保険労務士、または社会保険労務士法人でないものは、これらの名称および類似する名称を用いることを禁じられている(第26条)。 しかし、個人事務所には、名称に関する規定がないため、社会保険労務士事務所、社労士事務所、労務管理事務所、経営相談所、〇〇オフィス、〇〇事務所、〇〇コンサルティングなど多彩である。 社会保険労務士は、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課または徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じその他これらに類する行為をしてはならない(第15条)。 1980年(昭和55年)8月末日の時点で行政書士であった者は、社会保険労務士の独占業務に関わる書類の作成を行うことが認められるが、提出代行および事務代理は認められておらず(昭和55年8月29日庁保発第23号)、使者(行政契約の場合は代理もあり)として提出できるのみに留まる。また、特定社会保険労務士に認められる裁判外紛争解決手続業務に伴うあっせん代理も認められていない。税理士の行う付随業務(租税債務の確定に必要な社会保険労務士事務)についても、提出代行、事務代理並びあっせん代理は認められていない。
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