職務上請求に関する不祥事と対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 08:15 UTC 版)
「職務上請求」の記事における「職務上請求に関する不祥事と対策」の解説
身辺調査などに関連して戸籍謄本等の不正請求・不正取得が行われる事案は、1980年代から相次いでおり、職務上請求の制度が確立されてからも悪用は続いた。 職務上請求にあたって請求の目的を明示する必要はないとされていた時期もあったが、これが悪用される事態が相次いだため、戸籍法の2007年改正により要件が厳格化された。具体的には、法務省の集計によれば、2000年から2004年頃にかけて、職務上の必要性を欠く不正請求が計9件(行政書士によるもの6件、司法書士によるもの2件、弁護士によるもの1件)発生したほか、弁護士が調査会社に職務上請求用紙を不正譲渡した事件が1件発生した。同様に、総務省の集計によれば、2003年から2005年にかけて計7件(行政書士によるもの3件、司法書士によるもの2件、弁護士によるもの1件、法律事務所職員によるもの1件)の不正取得事件が発生した。 また、2011年には、偽造用紙を用いた大規模な不正請求事件が発生した。同事件においては、司法書士兼行政書士の資格を有していた探偵会社代表者が、結婚前の身辺調査などのため、偽造の職務上請求用紙を使用し、不正に巨額の利益を得ていたとされる。通し番号や1回の購入枚数制限などの不正使用対策を回避して大量の不正請求を行うため、デザイナーに依頼して用紙の偽造を行っていたという。また、元弁護士も関与していたとされるほか、現職の弁護士数名も名義貸しを行っていたともいわれる。不正請求の件数は、2008年以降2万件以上に上ったという。 こうした事態を受け、地方自治体によっては、不正請求・不正取得が発生した場合に被請求者に被害の発生を通知する本人通知制度を設けている。法令に基づいた制度ではないため、運用の詳細は地方自治体毎に異なる。
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