不正請求事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 08:07 UTC 版)
2009年6月21日、奈良県警捜査2課は、「生活保護受給者の診療報酬を不正に受給した疑いが強まった」として、詐欺容疑で、山本病院や同病院の理事長の自宅を家宅捜索し、理事長には任意同行を求め、詳しく事情を聴いた。また、同県警は押収した大量のカルテやレセプトを分析しつつ、同時に患者側の調べも進めた。 7月1日には奈良県警捜査2課などは、生活保護を受給する入院患者に心臓カテーテル手術をしたように装い診療報酬約170万円をだまし取った件について、詐欺の疑いで医療法人雄山会理事長、および同法人常務理事で病院事務長を逮捕した。 逮捕容疑とされた、2人の患者にまつわる詐欺以外にも、入院患者約10人に心臓カテーテル手術をしたように装い、総額約1千万円の診療報酬を詐取していた疑いが強いとされた。同じような架空請求が長年繰り返されていた疑いもあり、奈良県警は、山本病院の診療実態や動機などの解明を進めることになった。 山本病院は閉鎖となった。同医療法人は2009年12月から破産手続きを開始した。 奈良地裁で裁判が行われ、院長に対しては懲役4年の求刑であった。2010年1月13日、奈良地裁は院長(=理事長)に対して詐欺罪で懲役2年6月の実刑判決を言い渡した。裁判官からは「院長で理事長であり医師である被告が、率先して事件を主導した」「事件を主導し、全額公費負担となる生活保護受給者の診療報酬システムを悪用した」「不正請求を常習的に繰り返し、医療の本分をないがしろにした」と厳しく指摘された。 裁判で用いることができる証拠によって認定され判決文にも書かれていることに限定しても、院長(=理事長)は同病院の当時の事務長とカテーテル納入業者と共謀し2005年から2007年の間に、生活保護受給者8人に心臓カテーテル手術を(していないにもかかわらず)したように装い、(少なくとも)診療報酬計約835万円をだまし取ったことが明らかになっている。(元)事務長とカテーテル納入業者はともに有罪判決が確定した。 判決を受けた院長(=理事長)は大阪高裁に即日控訴したが、同年6月の大阪高裁および9月の最高裁での棄却を経て実刑判決が確定した。
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