線引き、差別、区別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 09:40 UTC 版)
近代以前の言語では、日本語の「人間」に相当する表現が、現在の「自由人」の意で用いられ、筆者自身はそのことを意識さえしていない、ということもあった。つまり、奴隷や農奴などの存在が自明当然のこととして扱われ、人間と言う時に彼らが除外されていたことがある。一部の文献の解読に際しては注意を要する。 また、かつては各国において、他民族を排斥する時など、相手の民族を貶めるため、「彼らは人間ではない」「野生の動物である」などとする発想や表現が存在していた。今日では非常に忌避される発想ではあるが、このような考え方がありふれていた時代もある。近代の日本に於いても、戦時下には敵国の国民を「鬼畜」呼ばわりしたことがあった。その後、人権思想も広まり、このような差別的な考え方、人種差別的な考え方は現在では世界的に嫌悪されることが多くなり、公に表明されることは少なくなった。 日本での問題としては、被差別部落民を指し「非人」と称していた事があった。「人非人」という表現もあったが人であって人に非(あら)ず、と言うのは矛盾しているため人という言葉はここでは2つ、生物学的な人と(自分たちの)社会に入っていない人を使い分けていた事が窺える。 18世紀にフランスで発見されたアヴェロンの野生児などのように、人間の親に育てられなかった人、社会から切り離されて育った人(野生児)が見つかることがあるが、彼らのありさまは、人々が「人間」という言葉で思うそれとは異なっていることが報告されている。 現代では、非人道的なことを行う人、モラルに欠ける人などのことを「人間ではない」「動物にも劣る」と表現することがある。
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