組織の思想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/28 10:45 UTC 版)
「ソコル (運動協会)」の記事における「組織の思想」の解説
ソコルはチェコ民族の身体能力の強化と民族意識の高揚による民族解放を目的とし、誓約においては「自由、平等、友愛、愛国」の理想に忠実であることが求められていた。設立の背景には微弱な民族は淘汰される思想が存在したと思われ、身分や階級に関係なく全ての人間がソコルに加入し、身体を強化するべきだと主張されていた。ソコルの会員は国家が制定したユニフォームを着用して互いを「兄弟」と呼び合い、国家主義を強調する組織と審美性を求めるソコル独自の体操は、ナショナリズムの高揚に大きな役割を果たしていた。チェコスロバキアで結成された後発のスポーツ組織は背景に存在する政治思想に差異があれども、その多くはソコルが基本になっていた。 ソコルの活動の拠点である体育館は様々な階級の人間が交流する機会を提供し、多くの体育館には図書館、講義室が併設されており、音楽会や演劇が開催されていた。1895年のチェコ・ソコル共同体総会で採択された「聖ヴァーツラフ決議」では誰にでも開かれた体操をという方針が打ち出され、人民の精神と道徳水準の向上が唱えられた。共同体本部に新設された教育部門によって、これまで各支部が独自に行っていた講演会、蔵書の購入が統轄され、講演を通した民衆の識字率の向上が重視される。これらの点からソコルには身分・地位が異なる大衆の民族意識を刺激し、身体と精神の両方を規律化する機能を備えていたと指摘されている。また、かつてソコルの指導者は学校の教師を兼任していたため、義務教育で行われる体育教育と自由意思で参加する体育活動の指導法に一貫性が備わり、身体文化の基盤が統一されていた。しかし、ソコルの教育活動の実情は「上からの」国民化・教化とも言え、協会の理想に反して知的水準の向上に無関心・消極的な下層階級を前にして、管理主義的な傾向を強めていった。
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