第87話「禁書」について
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「アウターゾーン」の記事における「第87話「禁書」について」の解説
ジャンプ・コミックス版第12巻(文庫版第8巻)に収録。初出は1993年35号(1993年8月16日号)。 SF作家の山本弘は東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正(2010年)に関連して、山本のブログである『山本弘のSF秘密基地BLOG』で「『アウターゾーン』の「禁書」というエピソードを連想した人も多いようだ」と本作に言及した。この話は下記のようなストーリーである。禁書の作品を書かれた時代背景としては1990年ごろの有害コミック騒動のものである。 あらすじ 漫画やサブカルチャーといった表現物に極端な規制が加えられた、架空の未来が舞台。そこは「道徳的な漫画」だけが出版を許され、お色気や暴力的なシーンを含む漫画はもとより、ギャグ漫画や個人の思想が入れられた漫画までも「子供に悪影響がある」という理由で「悪書」とされ、出版や公開はもちろん隠し持っているだけで重罪とされていた。 イラストレーターの西崎守(にしざき まもる)は自室で「悪書」とされる漫画を何冊も隠し持っており、近所の少年の拓磨(たくま)にそのコレクションや自筆の漫画を見せていた。やがて、拓磨は西崎から漫画の描き方を教わるようになる。だがあるとき、拓磨が内緒で持ち帰った漫画が母親に見つかり、西崎は“悪書を所持し他人に公開した容疑”で逮捕される。 法廷で西崎は「汚らわしい書物を見せ、青少年の健全な発育を阻害した」と厳しく糾弾され、「悪書」の所持を認めるも「悪いことをしたとは思わない」「ああいう漫画は確かに下劣だが、人間というのはそういうものであり、大人がいくら建前でつくろってもそれは変わらない」「好むのは人間の自然な姿」と反論する。 裁判官は「子供を良い子に育てるにはああいう不健全なものを見せてはならない」と返し、対して西崎は「人間の本質を知らされないで育つ方がよっぽど悪影響だ」「子供は我々が想定している以上に大人である」と反論するも聞き入れられず、彼は禁固30年の判決を言い渡され、隠し持っていた漫画はすべて焚書された。収監から2年後、西崎は獄中で自殺した。 やがて、月日が経ったある日。そこには、かつての西崎と同じように近所の少年に自作の漫画を見せる、成長した拓磨の姿があった。
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