第6章 年少者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 23:28 UTC 版)
労働基準法では満18歳に満たない者を年少者といい、特別に保護をする規定を設けている。さらに年少者のうち、満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間の者を児童といい、さらに特別の保護を求めている。この章の規定については厚生労働省令(年少者労働基準規則)で具体的な細目を定める。当該記事も参照。 第56条(最低年齢)使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。 前項の規定にかかわらず、別表第一第1号から第5号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満13歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても、同様とする。ILO138号条約(日本も批准)に対応した規定となっている。 最低年齢違反の労働契約に就労している児童を解雇する場合についても、20条の解雇予告に関する規定は適用されるため、解雇予告手当を支払ったうえで即時解雇しなければならない(昭和23年10月18日基収3102号)。 第57条(年少者の証明書)使用者は、満18歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。 使用者は、56条2項の規定によって使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。児童以外の場合には本法は親権者や後見人の同意書を求めていないが、民法第4条で、未成年者の法律行為には法定代理人の同意が必要とされているため、実務上は親権者や後見人の同意書を得る必要がある。 年齢確認義務は、使用者が負う。単純に労働者の申告を信用して満18歳未満の者の年齢証明書を備え付けなかった場合は本条違反となる。年齢確認に当たっては一般に必要とされる注意義務を尽くせば足り、その年齢を必ずしも公文書によって確認する義務はない(昭和27年2月14日基収52号)。 第58条(未成年者の労働契約) 第59条第58条、第59条の詳細は、「未成年者#民法以外の法律」の各項目を参照 第60条変形労働時間制(32条の2~32条の5)、三六協定による時間外労働(36条)、労働時間及び休憩の特例(40条)、高度プロフェッショナル制度(41条の2)は、18歳未満の者に対しては適用しない。 56条2項の規定によって使用する児童については、休憩時間を除き、修学時間を通算して1週間について40時間を、1日について7時間を超えて労働させてはならない。 満15歳以上満18歳未満(満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの間を除く)の者については、次の例により労働させることができる。1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内において、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合において、他の日(1日に限られない)の労働時間を10時間まで延長すること。 1週間について48時間、1日について8時間を超えない範囲内において、1ヶ月単位の変形労働時間制又は1年単位の変形労働時間制の規定の例により労働させること。「修学時間」とは、「当該日の授業開始時刻から同日の最終授業終了時刻までの時間から、休憩時間及び昼食時間を除いた時間」となる(昭和25年4月14日基収28号)。 第61条(深夜業) 詳細は「深夜業」を参照 第62条(危険有害業務の就業制限) 詳細は「危険有害業務#年少者」を参照 第63条(坑内労働の禁止) 詳細は「坑内労働#就業制限」を参照 第64条(帰郷旅費) 詳細は「解雇#年少者の帰郷旅費」を参照
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