第11次イゼルローン攻防戦
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「銀河英雄伝説の戦役」の記事における「第11次イゼルローン攻防戦」の解説
宇宙暦801年/新帝国暦3年2月12日~14日。イゼルローン(共和政府)革命軍と帝国軍艦隊との交戦。ユリアンが初めて作戦を立案し、艦隊指揮を執った作戦でもある。この年の初頭からハイネセンで頻発したテロや暴動に関連して、イゼルローン共和政府の立場を明確にしなければならないという政略的配慮が必要になり、ユリアンが戦う事を決断した。 イゼルローン軍が進発したのは2月7日。回廊の帝国本土方面の警備を担当していたヴァーゲンザイル艦隊に向かい、それを知ったワーレン艦隊は後背を突くため2月8日に進発した。この時点で、ヴァーゲンザイル艦隊は8,500隻、旧同盟領に駐留するワーレン艦隊は15,600隻。対するイゼルローン軍はユリアン率いる本隊が6,600隻、これに加えてメルカッツが率いる別働隊が本隊に先発して出撃し旧同盟領方面に布陣した。 戦闘開始は2月12日4時35分、帝国本土方面の出口に近い宙域で、イゼルローン軍本隊とヴァーゲンザイル艦隊が交戦を始めた。砲撃戦に加えて単座式戦闘艇どうしの空中戦が展開され、ポプラン率いるスパルタニアンのチームが損失16機に対してワルキューレ104機撃墜という戦史に残る戦果をあげた。イゼルローン要塞に近づけてトゥールハンマーを使うというのがイゼルローン軍の作戦であったため、全体としては帝国軍が進み、イゼルローン軍は後退した。ヴァーゲンザイルはこの作戦に気がついていたが、平行追撃に持ち込めばトゥールハンマーを無力化出来ると考え、前進を続けた。 2日間の退却戦の後、イゼルローン軍はヴァーゲンザイル艦隊をトゥールハンマーの射程に引きずり込んだ。それに気がついたヴァーゲンザイルは退却を始めたが、トゥールハンマーの一撃を受けて混乱状態に陥った。一方のユリアンは逆方向から進撃するワーレン艦隊に向った。この時点でヴァーゲンザイル艦隊はメルカッツの別働隊を認識出来る位置にあったが、自分達が逃げるのに精一杯でワーレン艦隊にその報告をしなかった。 一方ワーレン艦隊はヴァーゲンザイル艦隊の援護のために危険宙域に留まり、トゥールハンマーのエネルギー充填までの時間を見計らってイゼルローン本隊と交戦に移った。時間的にも数的にも勝算はあったが、それまでワーレン艦隊の死角に潜んでいたメルカッツの別働隊が左側面から攻撃を開始し、結果としてワーレン艦隊はトゥールハンマーの直前で立往生する形となった。艦隊運用の目論みが外れたワーレンは態勢を整えつつ撤退を始めようとしたが、20時15分エネルギー充填を完了したトゥールハンマーの砲撃を受け、さらに200秒後に第2撃を受けた。多数の艦艇が破壊もしくは戦闘不能となったワーレンは、ヴァーゲンザイル艦隊の撤退を確認した上で、20時45分に撤退命令を出した。 21時40分に帝国軍の完全撤退を確認したユリアンはイゼルローン要塞へ帰還。帝国軍の戦死者は推定40万とささやかなものではあったが、ヤンの死後民主共和勢力が初めて帝国軍に勝利したという意味で政治的に大きな勝利となった。
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