第三者に対する責任
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 19:08 UTC 版)
名目的取締役にその会社が求める職務は、何もしないことである。就任にあたり、無報酬あるいは低額な報酬とする代わりに何もしなくて良いことを条件とし、場合によっては会社および第三者に対する責任を一切負わなくてよいことまで約束することもある。こうした合意があったとしても、名目的とはいえ取締役である以上は取締役としての監視義務を免れることはできず、会社法に反するこうした合意は無効であり、第三者に対する責任が免責されるものではないとされる。しかしながら、名目的取締役はそもそも他の役員等の不正行為や職務懈怠を知りうる立場になく、一律に責任を問うことはできないのではないかとする見解もある。 この点について、日本の最高裁判所は、1980年(昭和55年)3月18日の判決(判例時報971号101頁)で「名目取締役であっても監視義務を負っており、代表取締役の業務執行を監視するにつき何らなすところがなかったことは、その職責を尽くさなかったものと言わなければならない」と判示しており、下級審でも、同様に名目的取締役であることで責任が否定されることはないとする裁判例が多い。一方で、最高裁の判例を踏まえつつも個々の事情を勘案して、悪意・重過失あるいは相当因果関係がないなどとして名目的取締役の損害賠償責任を否定する裁判例も少なくない。ただし、会社の詐欺的取引や違法な投資勧誘に関する事例ついては、取締役に対してより強い監視義務が求められ、名目的取締役に対しても監視義務違反による責任を認める傾向があるとされる。
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第三者に対する責任
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 03:38 UTC 版)
会社の業務を執行する際に故意または重大なる過失(重過失)によって第三者に損害を与えた場合にもそれを賠償する責任が生じる(429条1項、旧商法266条ノ3第1項)。判例はこの責任を、第三者を保護するために認めたもので、一般不法責任よりも加重したものとしている(最判昭和44年11月26日民集23巻11号2150頁)。 取締役には、他の取締役に対する監視義務が課せられている。この義務は、旧商法では、取締役会が業務執行の監督機関であり、取締役はその構成員であることから課せられていると考えられていた。しかし、会社法においては、原則として取締役会が設置されないことから、取締役の忠実義務など他の法的根拠が必要となっている。
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