立合いの待ったについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 22:47 UTC 版)
本来は相撲の立合いには時間制限がなかったため、互いの息が合うまでは待ったをしてよかったが、現在の大相撲においては制限時間が設けられている。そのため、逆に制限時間内で始めようとしない風潮が広まってしまった(立合いの項も参照)。したがって、現在では時間前に片方の力士が突っ掛けて「待った」となる場合も存在するが、普通に「待った」として取り上げられるのは、制限時間以降のことである。大相撲では制限時間一杯になると行司が「待ったなし!」「待ったありません!」と声を掛ける。大山(元幕内・大飛)のコラムによると、時間前に仕切って立たないのも厳密には「待った」である。 それ以降は、原則としては立つ(相撲を始める)必要があるから、特別な理由で待ったをする場合、はっきりとした意思表示が必要である。普通は待ったをする力士が前に片手をあげることで意思表示し、行司がこれを認めて相撲を止めることで成立する。時に待ったをしたつもりで相撲を止めたが行司が立合い成立を認め、そのため相手に一方的に押し出され、負けとなる例がある。 制限時間に立てない理由は様々であるが、よく言われるのは制限時間内で見合う際に呼吸を合わせることをしない、という点である。まだ立たなくてよい、とおざなりに見合っていては、本番時にうまく息が合わない、いつでも立つつもりで見合うべきだと言われる。昭和の大横綱・双葉山や大鵬などは、1回目の仕切りから立てるように仕切っていたと言われ、実際に奇襲のつもりで最初の仕切りで立ってきた力士(双葉山に対する龍王山、大鵬に対する大雪)を一蹴したことがある。 これとは別に、相手の気勢を削ぐために待ったをする場合がある。待ったの起源(「大相撲「待った」の由来」の項参照)がこれであるとも言われているが、評判の良い作戦とは言えない。 待ったが増えた場合には、そのような立合いの真剣さが問われたこともあった。その待ったを減らすため、当時の二子山理事長(元横綱・初代若乃花)の「鶴の一声」で、1991年9月場所から十両・幕内の仕切りの制限時間(十両3分・幕内4分)を過ぎてから故意の待ったをした場合は、両力士(後に原因となった力士のみ)に対して制裁金(当初は罰金、十両5万円・幕内10万円)が科せられていた。しかし、罰金を支払ってでも有利な立合いをしたい力士には全く機能せず、7年後の1998年9月場所限りで「待った制裁金」制度は廃止された。2004年夏場所からは待ったを1場所で3回した力士は審判部に呼んで注意を与えている。
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