種族II
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/14 15:10 UTC 版)
種族IIの恒星は、ヘリウムより重い元素の含有量が比較的少ない恒星である。金属欠乏星 (英: metal-poor star) と呼ばれる場合もある。これらの天体は宇宙の歴史の早い時期に形成された。中間的な種族IIの恒星は銀河系の中心部付近のバルジでは一般的な存在である一方、銀河ハローで発見されている種族IIの恒星はさらに年老いており、したがってより金属が欠乏している。球状星団もまた数多くの種族IIの恒星を含んでいる。種族IIの恒星は固有運動が非常に大きく、銀河内を高速で運動している。これは銀河形成の初期に生まれた星であるため、銀河を作ったガス雲が収縮する前の運動状態を残しているためであると考えられている。 種族IIの恒星の特徴として、これらの恒星は全体的な金属量が少ないにもかかわらず、種族Iの恒星と比べて鉄に対するアルファ元素 (酸素、ケイ素、ネオンなど) の比率が高いことが多いという点が挙げられる。現在の理論では、種族IIの恒星が形成された時点では星間物質への寄与はII型超新星によるものが重要であり、Ia型超新星による金属の供給は宇宙の進化の後期段階に起きたことがこの傾向の原因であることが示唆されている。 これらの非常に年老いた恒星は複数の異なるサーベイ観測の対象とされてきた。それらの例として、HK objective-prism survey や、元々は暗いクエーサーを観測対象として始まった Hamburg-ESO survey などがある。これらのサーベイ観測によって、これまでに10個の超金属欠乏星 (英: ultra metal-poor star, UMP star)、例えば Sneden's Star、Cayrel's Star や BD+17°3248 や、これまでに知られている中で最も年老いた恒星3つ (HE 0107-5240、HE 1327-2326、HE 1523-0901) が発見され詳細に調べられている。SDSS J102915+172927(英語版) は、2012年にスローン・デジタル・スカイサーベイのデータを用いて発見された時点では最も金属が欠乏した恒星として同定された。しかし2014年2月に、スカイマッパー(英語版)望遠鏡を用いた天文サーベイデータから、より低い金属量を示す恒星 SMSS J031300.36−670839.3(英語版) が発見された。極端に金属量が少ないわけではないが、近傍にあり明るいため長く知られていた金属欠乏星としては、赤色巨星の HD 122563(英語版) や、準巨星の HD 140283 が挙げられる。
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