破産からの再建
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 04:18 UTC 版)
平成3年(1991年)、宗教法人伊勢山皇大神宮は、神宮裏参道隣接地に婚礼施設を兼ねた高級ホテル「横浜開洋亭」を建設し、その際にホテルの建設費及び建設用地購入費等として、境内の一部を担保として約87億円(富士銀行(当時)43億円、北陸銀行17億5000万円、三菱信託銀行(当時)15億円、三菱銀行(当時)14億円など)を借り入れた。ホテルの運営は、別法人である株式会社開洋亭が行うが、当時の宮司の親族が同社を経営し、宮司とその親族らが同社の大半の株式を所有していた。宗教法人伊勢山皇大神宮は、ホテルを上記の運営会社に賃貸し、そこから得た賃貸収入を金融機関からの借入金の返済に充てる計画であった。 しかし、バブル崩壊後の景気低迷に加え、東急東横線の横浜駅・桜木町駅間は廃止となり(廃止後はみなとみらい地区の路線へ接続した)、集客は横浜みなとみらい21地区などの近接地へ流れ、また神前結婚式の減少もあり経営は低迷し、運営会社から予定していた賃貸収入を得られなかった。その結果、借入金返済が事実上履行出来ず、平成13年(2001年)3月抵当権が設定されていた境内地の一部が金融機関より差し押さえを受けた。 平成14年(2002年)になり事態を重く見た神奈川県神社庁は銀行側との協議の上、同庁がホテル敷地部分を除く境内地を取得、神宮の運営を直轄することで競売を回避した。当事者の宮司は免職となり、明治以来事実上の世襲であった宮司一族は神宮から絶縁された。神宮の運営から離れた宗教法人伊勢山皇大神宮は、実質的に不動産管理会社となったが、保有するホテル部分の資産価値が大幅に低下、多額の債務が経営を圧迫し、横浜地方裁判所に自己破産を申請、平成15年(2003年)4月7日に破産宣告を受けた。負債は債権者2社に対し85億6500万円。神社本庁に属する神社で初めての破産となった。 ホテル(株式会社開洋亭)は平成18年(2006年)11月27日破産宣告を受け、営業を中止した。 その後は新たな運営体制の下に再建を進め、現在では神奈川県神社庁直轄より独立し、再び宗教法人格を得て別表神社へも復帰している。 令和2年(2020年)5月15日、当宮は創建150年を迎えた。
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