石油給湯器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 08:18 UTC 版)
石油(灯油)バーナーによる給湯器。経済的効果(燃費)を期待し浴槽などの多量給湯に用いられる。かつては燃焼制御技術の問題もあり比較的容量の大きい缶を内蔵する半貯湯式もしくはセミ貯湯式と呼ばれるものが多かったが、現在は必要量だけその都度加温して利用する瞬間式(直圧式)もある。 瞬間式は細かい制御が可能なため、1°C単位での給湯温度設定が可能。缶体を持たないので、水道水の圧力のまま用いることができる。またガス瞬間式同様、給湯時の水圧が上水道圧とほぼ同一であり蛇口を捻れば直ちに点火・出湯するなどのメリットがあるがその分構造・制御が複雑になり、本体価格は高価である。またガス瞬間式同様に微小な流量では燃焼開始できなかったり給湯能力を超過した出湯の場合、直ちに湯温の低下を来たす欠点がある。瞬間式は本来、ガスの様に燃焼制御が極めて容易な燃料に用いられる物であるのでこの点やや不利である。 これに対してセミ貯湯式は構造が単純なため瞬間式(直圧式)に比べて安価であるが、容積のある円筒の缶体を持つ為法規制を受けかつては圧力上限が0.1Mpaとされていて、給湯時の水圧が低く(但し最近は高圧型0.2Mpaもある)使用開始時缶の水を予め温めなければならないので、数十秒程度の待ち時間が発生する(待たずに給湯栓を開けばいつまでもぬるいままともなる)。温度設定が「熱い〜ぬるい」などの感覚的な設定しかできない等の制約がある。反面、低圧であるので在来の太陽熱温水器との結合は極めて容易であり缶の湯量があるので湯温の乱高下も比較的緩和される。 かつてはランニングコストの面から寒冷地、都市ガスの供給の無い地域での採用が多かったが原油価格の高騰やオール電化の普及に伴い電気給湯器へシフトする傾向にある。 長所石油が安価なときは、パワフルな割に経済的。 即湯器のため、実用上の限度水量がない。 特に低圧の半貯湯式は太陽熱温水器との接続が容易である。 短所石油が高騰した時は、値段に直ぐ反映されてしまう。 石油独特の臭いやバーナー作動音がする。湯沸かし時の運転音は約47〜52db。但し、47〜52dbの運転音の機器を深夜に稼働させた場合は環境基本法第16条第1項の規定に基づく「騒音に係る環境基準について」に違反する可能性がある。 大型の燃料タンク設備が必要。 定期的に給油が必要。 低圧の半貯湯式で2階へも給湯する場合や特にシャワーを高圧にする場合はポンプの付置が必要。
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