石油系原料から植物系原料への転換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 02:19 UTC 版)
「合成洗剤」の記事における「石油系原料から植物系原料への転換」の解説
合成洗剤が主流となる前、石鹸の主要な原料は動物性油脂だったが、アブラヤシから採取されるパーム油も使われていた。これを合成洗剤の原料にするという試みは早くから為され、1970年代にはすでに商品化されている。しかし、石油系合成洗剤に比べると洗浄能力はどうしても落ち、加えて当初、合成洗剤忌避に対するニッチ市場向けに展開したため、助剤も効率のよいものが使えず、限られた需要だった。 1990年代後半から起こったエコロジーブームにより、それまでの石油系合成洗剤ブランドも、「自然と共存」「環境に優しい」をキーワードに、原料を石油とするLASから植物性のアルファスルホ脂肪酸エステル(MES)へと代えるようになった。 登場当初は評価された石油系合成洗剤の植物性原料への転換だったが、実際には油脂を採取するヤシが、熱帯雨林の荒廃(森林破壊)を助長するプランテーションによって栽培されており、現在では水質保全や二酸化炭素の排出量削減の面からも、環境保護への貢献度には疑問符がついている。 ライオン「植物原料スパーク」(第2期) 1995年(平成7年)発売。当初、「トップ」とは別ブランドのコンパクト洗剤として復活していた「スパーク」のブランドで発売。しかしブランドの訴求力が弱く、1998年(平成10年)に一旦製造中止。その後、2001年(平成13年)、「トップ」(全く同一の商標としては1956年〈昭和31年〉、1979年〈昭和54年〉に継いで3代目)に引き継がれた。 サラヤ「ヤシノミ洗剤 洗たく用」 2001年(平成13年)発売。サラヤは業務用厨房用植物系合成洗剤の「ニューサラヤSS」を1971年(昭和46年)に発売し、その後も家庭用に「ヤシノミ」ブランドで食器洗い用の「ヤシノミ洗剤」を製造販売しており、この年に粉末植物系洗濯用合成洗剤を発売し、市場に参入した。後に商標を「ヤシノミ洗たく洗剤」に変更している。 ヤシノミ洗剤は環境保全もさることながら、合成香料や着色料が無添加で、人体への悪影響がないことをより前面に押し出している。 花王「エマール」(第2期) 1995年(平成7年)発売。ソフト着洗い。それまでの「エキセリン」シリーズの後継商品として、原料を工業用アルコールから植物性に変更して発売された。
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