石油精製設備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 07:42 UTC 版)
以下、精製の流れについて解説する。 Schematic flow diagram of a typical oil refinery 常圧蒸留工程 常圧蒸留装置(Atmospheric Distillation) 原油(Crude Oil)は、上図左手の常圧蒸留装置(Atmospheric Distillation)に掛けられ、ナフサ(化学・ガソリン原料)・灯油(Kerosine)・軽油・A重油(Diesel Fuel)等を沸点分留で搾られる。残った絞り滓が常圧残渣油=C重油留分(半製品)である。ナフサ(LPG/灯油/軽油)が、石油化学工業の大元のエチレン装置の原料となる。 1980年代以前は、常圧残渣油は石油火力発電所で大量に焚かれていたが、石油価格の上昇で火力発電所が石炭やLNGに燃料転換したため、1980年代以降は常圧残渣油(C重油)を分解して白油(ナフサ・灯油・軽油・A重油)にする白油化設備が建設された。 白油化工程 減圧蒸留装置(Vacuum Distillation) 常圧蒸留装置の絞り滓の残渣油(常圧残渣油=C重油)が減圧蒸留装置(Vacuum Distillation)に掛けられて減圧軽油を搾られる。残渣の減圧残油は、アスファルトなどの原料にも使われる。 減圧軽油/残油は下記の分解装置に掛けられる 流動接触分解装置(FCC)軽質減圧軽油は、流動接触分解装置(FCC: Fluid Catalytic Cracker)で分解され、ブテン(合成ゴムやオクタン価向上剤原料)とナフサ・(灯油)・FCC軽油を産出する。触媒に析出した石油コークスは、空気吹き込みで燃焼され反応熱を供給する。 水素化分解装置(Hydro Cracker)重質減圧軽油は、水素化分解装置(Hydro Cracker)で分解され、LPG・ブテン・ガソリン・(灯油)・軽油を産出する。燃料生成のみが目的の場合、水素化分解工程で残留したボトム留分は通常リサイクルされるが、水素化分解によりパラフィンリッチと潤滑油原料に適した組成となっているため高粘度指数基油の原料として利用される事もある。水素化で鎖を切って軽い留分にするのでコークス析出はないが、水素を消費する。 最近の研究では、減圧軽油の代わりにパーム油などの植物油を水素化分解装置に掛けても、LPG・ブテン・ナフサ・ガソリン・(灯油)・軽油が取れることがわかっている。 環境省資料 16ページを参照 熱分解装置(Delayed Coker)減圧残渣油熱分解装置(Delayed Coker)に掛けられ、熱分解でナフサ・暖房軽油(Gas OIL)と石油コークス(Petro Coke)を産出する。石油コークスは、石炭の代替品として使用可能。
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