発展途上国における知的財産保護と日本の関わり
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「知的財産権」の記事における「発展途上国における知的財産保護と日本の関わり」の解説
発展途上国における知的財産の保護強化は、それら国の経済発展を支える効果があるとされるとともに、日本などの他国の企業にとっても、投資環境整備の一環として重要な位置づけを持つ。そのため、日本も、特許庁を中心として、各国の知的財産法制の調査およびウェブサイトを通じた公開を行うとともに、発展途上国に対し、法制度の整備および人材育成といった法整備支援を行っている。 平成23年11月18日に採択された日・ASEAN共同宣言とそれに基づく日・ASEAN行動計画においては、法整備支援一般について、「法の支配、裁判システムおよび法的インフラを強化するため,法律および裁判部門における人材強化への協力を続ける」とされている(行動計画1.5.5)が、知的財産については個別に、"@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}Promote cooperation to develop human resources capacity in the field of intellectual property rights (IPR) in order to enable the ASEAN Member States to improve and enhance their capabilities and to promote accession to IPR-related international agreements[訳語疑問点]"(2.18)との規定が盛り込まれた。 2013年6月7日に日本の当時第2次安倍内閣(安倍晋三首相、自公連立政権)において閣議決定された『知的財産政策に関する基本方針』においても、「アジアをはじめとする新興国の知財システムの構築を積極的に支援し、我が国の世界最先端の知財システムが各国で準拠されるスタンダードとなるよう浸透を図ること」が重要目標として掲げられ、知的財産分野において法整備支援を積極的に推進していくこととされた。そのような中、特許庁やJETROが、アジア地域へ積極的な展開を進める日本の法律事務所の協力のもと、ASEAN諸国の知的財産制度の実情調査を行い、ウェブで一般公開している。 知的財産分野における法整備支援の代表例としては、インドネシアに対するものが挙げられる。2011年から実施されているJICA知的財産権保護強化プロジェクトでは、日本の特許庁にあたる知的財産権総局だけでなく、知的財産権保護の執行を担う裁判所、税関、警察といった機関も支援先機関に加えられ、日本側も特許庁だけでなく、法務省、財務省との連携がとられている。その背景としては、知的財産の保護強化のためには、特許法などの知的財産法制の整備や審査官の能力向上といった権利化の過程だけでなく、民事訴訟や民事執行・民事保全といった基本的な法・司法制度の整備、裁判所を含めた紛争解決機関・法執行機関の能力向上が不可欠であると指摘されている。 知的財産分野でもアジアの中心となることを目指すシンガポールにおいて、司法省のもと、「知的財産権の権利化過程」と「裁判所などでの紛争解決・法執行」とを一体的に政策立案しているのとは、対照的となっている。
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