略称「まん防」をめぐる問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 06:44 UTC 版)
「緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置」の記事における「略称「まん防」をめぐる問題」の解説
前述の通り、2021年4月にまん延防止等重点措置が初適用となることから、マスコミ報道などでは「まん防」「マンボウ」などと略されて記事に記載されることもあった。この略称は内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室や厚生労働省など政府内で同年1月頃に略称を検討した結果、「まん防」となったとされる。検討当初では、「まん重(まんじゅう)」も浮上していたという。この略語がにわかに注目され出したのは、同年3月18日の記者会見で新型コロナウイルス対策分科会長の尾身茂が「まん防」とたびたび発言(平坦なイントネーションではなく魚のマンボウと同じイントネーション)したこととされる。このことから、「公の場において専門家の“お墨付き”を得て、人口に膾炙(かいしゃ)していくかに見えた。」と話す専門家もいるほどである。なお、「蔓防」の表記は「蔓」の字が常用漢字外であるため、原則として使用することができない。 しかし、この略称について、イントネーションの関係もあり、魚の「マンボウ」を連想させ、「危機感や緊迫感にかける」と言った批判的な意見もあり、4月1日の参議院議員運営委員会で西村康稔新型コロナウイルス対策担当大臣が「『まん防』という言い方は基本的に使わないようにしている。ちょっとふざけたような雰囲気もある」と発言する など、閣僚・自治体首長から批判が出ており、たびたび使用していた尾身も「『まん防』という言葉の使い方が適切ではない。『重点措置』の方が良い」と略語を使わないことを表明している。さらに、「まん延防止等重点措置」について、「まん防」と省略することを控える向きが政府、報道に強まっている。語感がゆらゆら泳ぐ魚のマンボウのような緩いイメージを連想させ、「ふざけたような雰囲気がある」という指摘もあった。これに関連して、魚類のマンボウが道の駅大谷海岸のトレードマークになっている宮城県気仙沼市が「(東日本大震災からの)再起を期す道の駅にとってもマイナスイメージとなりかねない」として、同月3日までに、報道各社に向けて「『まん延防止等重点措置』を『まん防』と略すことに慎重になってほしい」と要望する文書を出している。東京都の小池百合子知事も、「まん防」と発言して質問した記者に対し「あの、『まん防』っていう言葉、東京都では使ってないんです。『重点措置』です」と釘を刺している。 しかし、「1度も正確な名称を言っていない。重点施策となったり。」と批判を受ける政府首脳もいるとの報道もされている。実際に、内閣総理大臣や、国務大臣の会見などでも略称を用いていることがある。 一方で、「柔らかい表現でようやく定着しつつあったのに、批判されたらすぐ撤回するなんて、政府も国民にきちんと説明する自信がないんだね。アクセントを先頭の『ま』に持ってくると魚を連想してしまうけれども、後ろに持ってくれば響きはだいぶ変わる」との落語家の発言の報道もある。 略称はユーモラスな姿で人気がある魚のマンボウを連想させるなど、国民に事態の深刻さが伝わりにくい上、政府の姿勢も疑われかねないとの配慮があるようで、そういったこともあるからか、当初は、「まん防」と略していた新聞やテレビなどの表現も「重点措置」「まん延防止措置」の略称に集約されてきている。 その一方で、まん延防止等重点措置に乗じて、江戸時代の作品「疫病除けマンボウ」が和歌山市立博物館で展示が行われるなどの反応もある。
※この「略称「まん防」をめぐる問題」の解説は、「緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置」の解説の一部です。
「略称「まん防」をめぐる問題」を含む「緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置」の記事については、「緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置」の概要を参照ください。
- 略称「まん防」をめぐる問題のページへのリンク