産業用モノレール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 02:23 UTC 版)
みかん運搬用モノレール 車両 軌条 産業用の簡易輸送施設としてモノレールを使うという発想は古くからあり、起源は不明である。モノレールの嚆矢とされるPalmer式モノレールも産業用モノレールとして始まっており、その後も多くの同様の趣旨で作られた路線があった。ここでは、もっぱら産業用として限定的に開発されたモノレールの系譜についてまとめる。 遅くとも1949年に、交通機関としてではなく不整地での工事用・工場内での物資輸送などを主な目的とする産業用モノレールが開発され商品として販売された。同年に、イギリスのレール・マシンズ・リミテッド (Rail Machines Ltd.) から発売されていたという記録がある。この産業用モノレールは、特許取得の記録が残されており、それなりに商業的にも成功をおさめたようである。 日本では、1966年に、当初は主にみかんを初めとする果樹栽培の、急傾斜地での労働軽減を目的とした農業用モノレールがニッカリと米山工業株式会社によって開発・販売された。これらは摩擦ではなくラック・アンド・ピニオンで車輌を駆動するようになっている。速度が遅いという欠点はあったものの、勾配に強く、最大45度まで許容できた。 この農業用モノレールは、基本的に物資輸送用であり人間が乗ることは想定されていなかった。しかし、その物資輸送用モノレールに無理やり乗車する者が後を絶たず、しばしば死傷事故を引き起こした。そのため、「乗車することを止められないのならば、安全に乗車できるシステムを」という方向で、農林水産省・厚生労働省・経済産業省なども参加して安全基準などを定める方向に至った。 その後、人員輸送用にも使えるものや、急傾斜地の工事現場で作業用道路が不要となることが注目されてコンクリートなどの資材や小型重機などの運搬ができるものなど、高性能で安全なものが開発されるようになり、多くの会社で製品化されている。 物資運搬用以外にも、長崎市の斜面移送システムのような自動車道路の建設が困難な地域での生活の足や、老齢者の福祉介護用、山岳地帯の送電塔などの保守用、急傾斜を登らなければならない展望観光地の観客輸送・バリアフリー施設用などにも用途が広がっている。日本国外でも農業用、パイプラインの敷設など産業用モノレールとして使用実績もある。 これらの中には、重量物輸送用の高性能タイプなど主軌条のほかにバランスを取るための副軌条を持つシステムもあり、厳密には「モノレール」とは呼べないものも含まれている。しかし副軌条を持つものを含めて、おおむね「産業用モノレール」としてまとめられている。 産業用モノレールの主な銘柄としては、以下のものがある。 モノラック(株式会社ニッカリ/米山工業株式会社) - 日本国内農業・産業用モノレールトップシェア[いつ?] エルタラインキャリア(株式会社エルタ) オートワゴン(株式会社 正富) ハイラック(飯田ユニパー株式会社) ゴーリキ(光永産業株式会社)
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