生物の移動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/24 05:53 UTC 版)
生物は移動なくして拡散も繁栄もしない。 生物学の分野では、生物がそれまで棲息していた場所から別の場所へ移ることを「移動」といい、「移住」ともいう。運動性の大きい動物は速やかな移動を行う。植物は様々な方法によって徐々に移動して分布域に変化をもたらすが、その方法のなかで劇的な変化をもたらす可能性の高いものは、風媒による移動と動物の運動性を利用した移動である。 ある場所から別の場所へ出ていくことを「移出(英: emigration)」といい、入ってくることを「移入(英: immigration)」という。この移出と移入が周期的に反復する移動を「回帰移動」といい、回帰しない移動を「非回帰移動」という。渡り鳥や回遊魚は回帰移動をする動物の代表的なものである。ヨーロッパ大陸のレミングの移動や、有史以来諸大陸で記録されてきたバッタの大発生(cf. 蝗害)のような、過密した集団の緩和のための移動(密度依存的移動)は、非回帰移動の代表例である。 動物の、運動器官を用いた移動運動(英: locomotion;ロコモーション)で能動的なものは、索餌や捕食を目的とした移動が中心であるが、捕食者や敵からの逃避としての移動、繁殖のための移動、越冬のための移動、乾季に水を求めての移動、雨季に出水を避けるための移動などもある。一方で、受動的な移動としては、気流や水流(特に海流)によって運ばれてしまうケースがこれにあたる。受動的移動は、小動物でよく起こると考えられるが、植物の種子や真菌類の胞子の散布移動はむしろ大いにこの移動に頼っているところがある。 また、行動圏自体の位置が変わるために起こる移動も2種類に分類され、一つは、一生のある時期に定住地を変える移動であり、今一つは、新生個体の出生地から定住地までの分散と呼ばれる移動である[要出典]。
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