生物の窒素の排泄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 14:50 UTC 版)
ヒトがタンパク質などから取り入れた窒素のうち、過剰分が尿の中に尿素の形で排泄される(尿には尿素が含まれており、成人は尿素を 1日 30 g ほど排泄する。)。生体内では、尿素回路によりアンモニアから尿素が産生される。 最も簡単な窒素化合物はアンモニアであるが、人体に有害なため、安全な尿素として蓄えられ水溶液として排泄される。ただし水溶性であるから水と共に捨てなければならず、濃縮にも一定のエネルギーを要する。 水の確保が重要な問題となる生活ではこの点で尿酸にしたほうが有利である。これは尿酸は尿素に比べ濃縮が可能であり、体内に一時的に保持するにあたって水分をあまり必要としないためである。また、硬い殻を持つ卵から生まれる際に、代謝に伴って生じた窒素化合物を体外へ排出することが出来ない。硬い殻(閉鎖卵)を有する卵生の動物では、尿を殻の外に排泄できないため、アンモニアでは有害であり、尿素では浸透圧が高くなりすぎ、水にわずかしか溶けない尿酸の形で排泄することにより有害性と浸透圧の両方の問題を解決している。 窒素の排泄は、硬骨魚類ではアンモニア、哺乳類、両生類、軟骨魚類では尿素、鳥類や爬虫類では尿酸のかたちで行われる。なお、軟骨魚類は、浸透圧調節のため、尿素やトリメチルアミンオキサイドを体内に蓄積している。
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