生物の眼と偏光の認識
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/09 14:42 UTC 版)
人間の眼は光の強度と色を識別することはできるが、偏光はほとんど識別することができない。わずかに網膜の中心部に偏光特性があり、注意深く見ればハイディンガーのブラシとして知られるかすかな黄色と青色の筋が見えるが、これには個人差がある。 そのため一般には人間が偏光を識別するためには偏光子を通して見なければならない。 一方、昆虫は偏光を識別できる。昆虫の複眼の中には、特定の偏光方向に敏感な視細胞が色々な方位に規則正しく集合しているからである。昆虫は自然界の偏光をうまく利用している。例えば、ハチは天空の光の偏極を元にして太陽の見えない曇空であっても方向を間違えずに長距離を飛ぶことができる。また、ある種のカゲロウは生殖期になると水溜まりの反射光の偏光を頼りに集合する。カメムシやタマムシなどの一部の昆虫の体は液晶のような構造色を持っており、片方の円偏光のみを選択的に反射する。さらにシャコにいたっては、円偏光の回転方向を識別できる。また、カマキリに寄生したハリガネムシは、偏光を識別できるカマキリの視覚を利用して、宿主を水辺へと誘導している。
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