現在の自衛隊格闘術(新格闘)
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「自衛隊格闘術」の記事における「現在の自衛隊格闘術(新格闘)」の解説
2008年(平成20年)より新たな内容の格闘術に変更された。この新しい格闘術は自衛隊内では「新格闘」と呼ばれている。 各国の軍・治安機関では、テロ・ゲリラなどの脅威に対処するにあたり火器を有効に利用できない状況が生起すると想定し、実戦的な近接格闘術を開発していた。一方で、自衛隊での訓練は武道色の強い内容のままであった。 日本でも、不審船事案により北朝鮮の特務機関が日本国内で対日有害活動を繰り返すなど、テロもしくはゲリラコマンドにより近接戦闘が生起する可能性が高まったことを受け、陸上自衛隊では自衛官が戦闘の最終局面で自己を防衛しつつ任務を達成できるよう、2000年(平成12年)度頃より格闘術全体の見直しを検討した。検討は、陸上幕僚長・森勉が実戦的な徒手格闘の体系を早期確立するよう指示したことにより、本格化した。これにより自衛隊体育学校第一教育課に格闘研究プロジェクトチームが発足し、格闘術の抜本的な見直しを進めた。格闘研究プロジェクトチームの研究成果に基づいた新たな格闘術を2006年(平成18年)に第10師団で試験的に導入した。2007年(平成19年)中に教育訓練方法などを検討し、2008年(平成20年)に全部隊で導入された。 新格闘の訓練履修対象は、2佐以下の全陸上自衛官であり、実任務に即した技能として勤務査定に導入されている。海上自衛隊および航空自衛隊でも、警務官や基地の警備等を担任する一部の自衛官に限り、任務のために新格闘を習得する。 技術体系は従来から大幅に見直され、これまでの徒手格闘・銃剣格闘・短剣格闘という分類から、徒手技術・武器技術という分類に変更されている。 また、訓練で使用する防具もミズノ製の軽量かつ着装しやすい防具へと変更された。これは、従来の防具よりも安全性を高めつつも、訓練の痛みだけを与えることができる新機軸に基づいた防具であり、あえて痛みを与えることで自衛官の技能と精神力を向上させる狙いがある。ただし、それでも怪我人は発生している。
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