現代イスラム圏におけるクルアーン主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:29 UTC 版)
「クルアーン主義」の記事における「現代イスラム圏におけるクルアーン主義」の解説
21世紀に入り、インターネットの普及と共に、イスラム圏各国でクルアーン主義の思想が広まりつつある。しかし、スンナ派の法学をシャリーア法として採用する国では、信者がその思想を敵視することもしばしばある。例えば、サウジアラビアの学者 ハサン・アル=マーリキー は、政治改革とクルアーンへの回帰を訴えて何度も逮捕された。 サウジアラビアでは2009年1月から、「テロと国家安全保障」に関する事件を扱うために特設されたリヤドの特殊刑事裁判所で、研究者を起訴し初めている。 2019年、サウジ国王に直結している検察は、ハサン・アル=マーリキー の宗教観に嫌疑をかけ、その「過激な解釈」に対する判決を下すよう裁判所に要求している。 サウジアラビアの知識人である Abdul Rahman al-Ahdal も、ハディースを捨ててクルアーンに回帰するよう提唱し続けている。 またエジプトやスーダンでは、クルアーン主義者がその思想のため逮捕されている。 シリアのイスラム学者である故ムハンマド・シャフルール氏は、ハディースには宗教的価値がなく、クルアーンがムスリムの唯一の法源であるべきだと主張した。 ロシアでは、クルアーン主義の広がりがスンナ派権威の怒りを買っている。ロシア・ムフティー評議会は、ロシアにおけるクルアーン主義とその指導者たちに対してファトワを発行した。 しかし、このファトワで言及されているクルアーン主義者とされるリーダーの一人であるロシアの哲学者Taufik Ibragimは、自らの信念はどちらかといえばジャディード運動の伝統に近いものの、ロシアでは2つの思想の間に関連性があると主張している。 トルコでは、宗務庁Diyanetによるクルアーン主義者の信条への批判に対抗し、クルアーン主義者らがソーシャルメディアで反論している。 またYıldız工業大学の教授であり、ハーバード大学とケンブリッジ大学で客員教授も勤めるジャネル・タスラマン氏は、現代科学 ・哲学・宗教の関係性に着目した研究で有名で、日本語でも「イスラムと女性」「テロとジハードのレトリック」「道徳・哲学・神」などの著作を持つことで知られる。 南アフリカでは、オックスフォード大学出身のイスラム学者 Taj Hargey氏が「オープン・モスク」を設立した。その名の通り、Hargey氏はこのモスクを、伝統的にスンナ派やシーア派のモスクにおいて敬遠されてきた女性などの層にも開かれたものにしようと考えたのである。Hargey氏は、このモスクの理念を「クルアーンを中心とした男女平等、無宗派、異文化交流、そして独立の場」と表現している。
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