現代イラン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:24 UTC 版)
ムハンマドの視覚的表象が禁じられているにも関わらず、イランではムハンマドの図像をみかけることは珍しくない。イランのシーア派たちはスンニ派の慣習的信仰からみればだいぶ寛容といえる。今日のイランでは、視覚的な描写はほぼ容認されており、現代的なポスターやポストカードによるムハンマドの表象が行われている。 1990年代の後半から、イスラム世界におけるイコノグラフィ(図像学)の研究者は、イランではターバンを巻いた少年としてムハンマドを描いた画像が紙に印刷されて流通していることに注目してきた。さまざまに異なる部分はあるものの、どれも成人前の若々しい顔つきで、「神の使徒、ムハンマド」と書かれていることからそれとわかる。あるいはより詳細にムハンマドの生涯における逸話に根ざした伝承が書かれていたり、その図像の由来への推察が載っている場合もある。イランにおけるこうしたポスターの一部は、キリスト教の僧バヒラ(英語版)と若きムハンマドのシリアでの邂逅を描いた場面に由来する。この図像をキリスト教に帰属させ、また時代的にもムハンマドが預言者になる前のことであるとすることで、この図像を手掛けたものはそれが非道徳的な行為だという非難に対する自己弁護を図っているのである。 ドイツ人のルドルフ・フランツ・レーネルト(英語版)とエルンスト・ハインリッヒ・ランドロックが1905年から1906年に撮影したチュニジア人の青年の写真がモチーフであり、1921年までにポストカードとして鮮明な画像が印刷されて流通した。イランではこの画像は、ある種の珍品としてよく知られている。 テヘランでは2008年に、天馬ブラーク(英語版)にまたがるムハンマド(顔はヴェールで覆われている)の壁画が公道の交差点に設置された。ムスリムが大半の国でこの種の壁画がみられるのはここだけである。
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