現代の騎兵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 21:28 UTC 版)
現代の軍においては、実戦を目的とした騎馬部隊を保有する国家は中国など一部のみであり、他の多くの国家では歴史・伝統・名誉といった理由から儀礼を目的とした乗馬部隊を保護するに留まっている。 中国は陸軍とロケット軍において、車両の通行が困難な山岳地帯の国境防衛に現代でも騎馬部隊を運用している。 車両・航空機を用いる部隊の内「(軽防御で)機敏かつ迅速に展開・撤収が可能な部隊」という、近代以前の騎兵と同じ意味合いを持つ部隊が「騎兵」の名称を冠していることがある。具体的一例として、AMX-10RC装甲車を装備するフランス外人部隊第1外人騎兵連隊や、ベトナム戦争時代にはヘリボーン部隊、現在は機甲部隊に再編されたアメリカ陸軍第1騎兵師団など。スペイン語圏のラテンアメリカ諸国では、自動車化歩兵部隊のことを騎兵と称する場合もあり、この場合はロシアの自動車化狙撃兵に近い意味合いで使われる。 こうした部隊は、近年では、テロやゲリラなどのいわゆる低強度紛争(LIC)の駆逐・制圧も重要な任務となっている。また、アメリカ軍によるアフガニスタン侵攻では、潜入した特殊部隊が現地部族とともに騎馬で行動する場面もあった。また砂漠地帯では馬の代わりにラクダを使用することもある。 一方、欧米を中心とした各国警察においては儀礼だけでなく警備の手段として騎馬隊はまま用いられるが、日本では儀礼目的で少数の部隊が編成されているに過ぎない。代表的な例は京都府警察の平安騎馬隊など。詳しくは騎馬警官の項目を参照。 アメリカ合衆国では幾つかの州のハイウェイパトロールが「State Trooper」を公式の通称として使用し、階級にも巡査相当の「Trooper」が用意されていることがある。これは自動車が登場する前から馬でパトロールしていた名残り。Trooperは騎兵や騎馬警官を意味する単語であり、State Trooperは直訳すると「州騎兵」の意味になるが、もちろん騎馬警官を除いては馬は使わない。 エリトリアで活動するPKFの騎馬隊員(2005年) ノースカロライナ州警察ハイウェイパトロールのパトカー。ドアにSTATE TROOPERの表記がある
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