現代の音源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 09:22 UTC 版)
録音技術は音楽創作にとってもはや切り離せない一部となっており、オリジナルのマスターテープとデモテープを使用して、完成している部分を集めて曲を構築することも可能になっている。アーティストがある歌を完成させられない(完成させたくない)場合、デモテープが公式に発表されたり、海賊版として出回る場合も多い。 1990年代中頃、いまだ人気を誇っていたビートルズは、すでに死亡していたジョン・レノンの未完成音源をバンドメンバーがつなぎ合わせて作成した『フリー・アズ・ア・バード』と『リアル・ラヴ』を発表した。2曲両方ともイギリスのシングルチャートでトップ5に入った。 ロック音楽においてきわめて有名な未完成アルバムの一つに、ザ・ビーチ・ボーイズによる1967年のアルバム『スマイル』 (SMiLE) がある。『スマイル』は評判の高かった『ペット・サウンズ』の次に当たる野心作で、1966年から1967年に収録されていた。だがブライアン・ウィルソンの精神状況が悪化し、バンドメンバー感の対立が激化してきたため、ビーチボーイズはアルバムに収録する予定の膨大なレコーディングを終えながらも、プロジェクトを中止した。2004年、ブライアン・ウィルソンと共同執筆者のヴァン・ダイク・パークスがスタジオで新たに素材を録音し、完成品のソロ・アルバム『スマイル』としてリリースした。 スタジオ作業の音源がアルバム完成前にインターネットに流出してしまう、という目にあったアーティストもいる。システム・オブ・ア・ダウンによる、『毒性』の次の2002年のアルバムの音源は、タイトルが命名される前にMP3ファイルとしてインターネットに流出してしまった。このアルバムが『スティール・ディス・アルバム!』として発表された際、収録曲は中途音源とはまったく異なったものになっており、タイトルや歌詞、メロディさえも異なっていた。この変更は、流出音源に対する不評をダイレクトに反映させた結果だとする見方もある。 健康状態のために続けられなくなる前に、作品の仕上がりを可能な限り確実にしようとするアーティストもいる。ジョニー・キャッシュは身体の不調に気づき、演奏は死後に完成させるものとして60以上の曲のヴォーカル収録を終わらせた。これらの曲はプロデューサーのリック・ルービンによって編集され、『アメリカンV: ア・ハンドレッド・ハイウェイズ』および『アメリカンVI』としてリリースされた。
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