現代の雅楽における諸問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 04:28 UTC 版)
伝統的製法の楽器や舞楽装束は元々需要が殆ど無かった事もあり、職人の技量の維持や技術の継承が難しくなってきている。具体的に一例を挙げると割管という龍笛や篳篥の製作技法を持つ職人は今や数人しか残っていない。 雅楽の民間への普及は進んでいるものの、実力のある指導者が少なく寺社などで技量を問われず慣習によって演奏を任される場合が多いため技量の低い団体が非常に多くなっている。さらに技量の低い者が指導を行い、間違った演奏方法、舞楽の舞い方が広まるという悪循環に陥っている。また、寺社の関係者の場合は儀式のために仕方なくやっているという意識の者も多く技量向上に関心を示さないというケースが多い。 宮内庁式部職楽部においては楽師の定員が少なく、年間の活動時間の大半を洋楽に取られているため雅楽の技量の維持が難しくなっており若手の楽師に細かい技法の伝承がうまくなされていないのが現状である。 日本音楽著作権協会(JASRAC)が演奏者に使用料の申告を要請する事例が発生したが、直ぐに和解をしている。これについて協会は「著作権消滅等、管理楽曲のないことが確認できた場合には、当然に著作物使用料のお支払いは必要ございません」「雅楽は平安時代から伝わる古典芸術であり、通常は著作権が存在するような楽曲ではありません」とした上で、「しかし、現代雅楽など著作権の存続する楽曲がこれら催物において利用される場合もある」との事である。因みに今回の事例は、申告要請された演奏者は古典芸術のみの演奏しかしないために使用料の発生がしなかったからである。 笙に使われる竹は、本来は茅葺家屋の屋根裏で長期間囲炉裏の煙で燻されたもの(煤竹)が使われており、そのような家が解体されるときに、楽器製作者が貰い受けているが、そのような家屋自体が激減し、材料難となっている。そのため近年作られる笙のうち大部分は白竹で作られた笙である。
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