特殊な用例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 14:37 UTC 版)
貨車の転回に用いる小型の転車台の中には、ダイヤモンドクロッシングのように十字形に2本の線路を交差させて設置したものがある。また、こうしたものの中には転車台坑を全面に渡って板で覆ったものがある。日本では唯一武豊港駅跡に保存されており、2009年(平成21年)1月に国の登録有形文化財に登録されている。 ロシアのクラスノヤルスク水力発電所には、世界最大シップリフト用転車台を設けた。 フランスでは、スペース不足の問題から主桁の3分の1くらいの点に回転中心を設けた、非対称な転車台が存在していた。当然のことながら、こうした転車台では360度回転させることはできない。 イギリスのベントナー駅 (Ventnor railway station) 、ベンブリッジ駅 (Bembridge railway station) には、機回し線を振り分けるために通常の分岐器の代わりに小型の転車台が存在していた。これは、トンネルを出てすぐの場所に駅が設けられたため、通常の分岐器を使うとトンネルの出口までの距離が近くなりすぎ、機関車が機回しをしようとすると一旦トンネルに入らなければならなくなったからである。のちにこの転車台は三分岐式の分岐器に置き換えられたが、これにより機関車は機回しに際して一旦トンネルに入らなければならなくなった。 遊園地ではあるが、埼玉県の東武動物公園内を走る鉄道「パークライン」や、西平畑公園の「ふるさと鉄道」は、複線の転車台がある。終端駅における転向に特化したからこそできたものではあり、転向と同時に機回し線に転線する。 伊予鉄道の坊っちゃん列車については、転車台を設けず、機関車の下部に油圧ジャッキが内蔵されており、機関車自体を持ち上げた後に人力で回転させて方向転換する方法が用いられている。古町駅・道後温泉駅・松山市駅前停留場で見られる。この方法は一部の保線用モーターカーにも利用されている。 過去に軍事用として列車砲を旋回させ、射角を得る砲座として転車台が利用されていた。この場合、後退防止用として転車台に砲の反動を吸収するため、連結器と直結した緩衝装置を備えていることが多い。恒久陣地や要塞に設置される物の中には天蓋式に装甲やベトンで転車台自体を覆い、防御力を高めた事例もある。他にドイツ国防軍などでは「フェーゲレ・ターンテーブル(Vögele Drehscheibe、フェーゲレ・ドレーシャイベ)」のように、前線で列車砲を展開させるための組み立て式器材として転車台が制式化されていた例もある。
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