特殊な特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/27 08:26 UTC 版)
左側がアンペアブレーカー、右側が配線用遮断器の内部構造写真である。どちらもコイルの磁力で引き外しかぎを作動させる仕組みだがアンペアブレーカーのL1相とL2相のコイルは互いに逆向きに巻かれており両相電流の和により引き外しかぎが動作する。したがってL1相とL2相とにつなぐ200 V機器の電流は2倍される。 アンペアブレーカーは契約電流の制限に用いるものであり保安目的のものではないことから、配線用遮断器(MCCB)などとは動作特性が全く異なる。ある電力会社の30 A 単3用アンペアブレーカーであれば、 L1 - N のみ100 V負荷がかかる場合: 30 Aで遮断 (L1:30 A + L2:0 A) L1 - N、L2 - N それぞれ均等な負荷(各々100 V負荷)の場合: 各15 Aで遮断 (L1:15 A + L2:15 A) L1 - L2 のみ(200 V負荷)の場合: 2. と同様に15 A で遮断 (L1:15 A + L2:15 A) L1 - L2(200 V負荷)に 5 A負荷が常時ある場合: L2 - N に20 A が流れると遮断 (L1 5 A + L2 25 A) つまり100 V換算で30 A(これを「合成動作定格電流」という)となる。結果として負荷合計3 kVAで遮断することになる。したがって30 Aのアンペアブレーカーがあっても200 V負荷で30 A使えるわけではない。一方で同じ電流値である30 Aの配線用遮断器の場合、各相いずれかが30 Aを超えないと遮断しないため、200 V負荷でも30 A使える点が相違点となる。 単相3線式の需要家で30 Aの配線用遮断器を設置して主開閉器契約をする場合、契約容量は3 kVAではなく、6 kVA (200 V・30 A)となる。この場合、L1・L2いずれかの相電流が30 Aを超えると遮断するため、L1相かL2相に負荷が偏った場合、契約容量に達しないのに遮断される問題点が生じる。問題を防ぐためには、あらかじめ負荷の振り分けにおいて一方に偏らないように工事しておく必要がある。この点アンペアブレーカーによる契約電流制限は相電流の和により遮断するため、負荷が片方に寄っても前述の問題は発生しない。
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