物性値としての気化熱とは? わかりやすく解説

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物性値としての気化熱

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/23 09:09 UTC 版)

蒸発熱」の記事における「物性値としての気化熱」の解説

物性値とは物質の性質を表す値である。この節では物性値としての気化熱について述べる。 物質気化に必要なエネルギー物質の量に比例する。そのためデータ集などでは、物質 1 キログラム当たりの値または物質 1 モル当たりの値が気化熱として記載されている。単位それぞれ kJ/kg (キロジュールキログラム)および kJ/molキロジュールモル)である。例え25 における水の蒸発熱は 2442 kJ/kg であり 44.0 kJ/mol である。熱量の単位としてカロリー用いるなら、25 における水の蒸発熱584 kcal/kg であり 10.5 kcal/mol である。 以下この項目では物質 1 モル当たりの気化熱を、単にその物質の気化熱と呼ぶ。 物質気化に必要なエネルギー物質により異なる。例え25 におけるメタノール蒸発熱は 37.5 kJ/mol であり、同じ温度水の蒸発熱 44.0 kJ/mol より小さい。おおまかに沸点の低い液体ほど蒸発熱小さく、高沸点液体蒸発熱大きい。例え沸点269 ヘリウム蒸発熱は 0.08 kJ/mol であり、沸点およそ 5900 タングステン蒸発熱は約 800 kJ/mol である。沸点互いに近い液体蒸発熱は、似た値になることが多い。ただし例外もある。例えば、四塩化炭素沸点 77 )、エタノール沸点 78 )、ベンゼン沸点 80 ℃)の蒸発熱は、それぞれ 29.8, 38.6, 30.7 kJ/mol である。四塩化炭素ベンゼン蒸発熱が 3% の精度一致しているのに対してエタノール蒸発熱はこれらの物質よりも 30% 近く大きい。すなわち、エタノール気化する際に必要となる熱量は、その沸点分子量から予想される量よりも大きい。 気化に必要なエネルギーは、同じ物質でも気化する条件によって異なる。データ集に蒸発熱(または昇華熱)として記載されている値は、平衡蒸気圧の下で 1 モル純物質液体(または固体)が同温同圧の純粋な気体変化する際に、外部から吸収する熱量である。つまり液体(または固体)が気体相転移するときの潜熱である。この過程定圧過程なので、吸収される熱量エンタルピー変化量等しい。このエンタルピー変化量蒸発エンタルピー(または昇華エンタルピー)という。すなわち、データ集に記載されている蒸発熱は、平衡蒸気圧の下での蒸発エンタルピーである。そのため『化学便覧』(丸善出版)のように、見出しが「融解熱」や「蒸発熱ではなく、「融解エンタルピー」や「蒸発エンタルピーとなっているデータ集がある。 同じ液体でも気化する温度高くなると、蒸発熱小さくなる例え25 水の蒸発熱 44.0 kJ/mol は、100 では1割近く減少して 40.6 kJ/mol となる。そのためデータ集などでは、蒸発熱温度併記されている。通常は、1 気圧における沸点での値か、25 における平衡蒸気圧での値が物質蒸発熱として記載されている。蒸発熱変化量キルヒホッフの法則に従って温度差にほぼ比例するので、沸点の高い液体では沸点における蒸発熱25 における蒸発熱の差は無視できないほど大きくなる例えドデカンでは、沸点 216 における蒸発熱44 kJ/mol であり、25 における蒸発熱 62 kJ/mol の7割程度にまで小さくなる気化熱圧力依存性は、気化し分子(や原子)の解離会合が起こらなければ蒸気理想気体とみなせるような低い圧力では無視できる。よって温度が同じであれば大気中へ気化するときの気化熱は、真空中気化するときの気化熱とほとんど同じとみなせる。例え大気圧25 における水の蒸発熱は、この温度における水の平衡蒸気圧 32 hPa の下での値、すなわちデータ集に記載されている 44.0 kJ/mol事実上等しい。また、液体他の物質溶けているときの蒸発熱は、一般に純粋な物質蒸発熱とは異なるが、十分に希薄な溶液であればその違い無視できる例えば、空気触れているには酸素窒素二酸化炭素などが溶けているため、この水の蒸発熱厳密に純粋な水の蒸発熱とは異なる。しかし、大気圧下では溶けている気体の量が微量なので、空気影響無視できる以外のほかの物質でも事情は同じである。大気圧25 空気接している液体空気中に蒸発する際の蒸発熱は、蒸気分子解離会合が起こらなければデータ集に記載されている 25 平衡蒸気圧の下での純粋な液体蒸発熱事実上等しい。固体空気中に昇華する際の昇華熱についても同様である。

※この「物性値としての気化熱」の解説は、「蒸発熱」の解説の一部です。
「物性値としての気化熱」を含む「蒸発熱」の記事については、「蒸発熱」の概要を参照ください。

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