爆弾に働く力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:47 UTC 版)
所与の空気密度や迎え角によって爆弾にかかる抗力は対気速度の二乗に比例する。もしも速度の垂直の成分が v v {\displaystyle v_{v}} と示され、水平の成分が v h {\displaystyle v_{h}} 、速度が v v 2 + v h 2 {\displaystyle {\sqrt {v_{v}^{2}+v_{h}^{2}}}} ならば、抗力の垂直と水平の成分は以下である。 d v = C A ρ v v v v 2 + v h 2 ( v v 2 + v h 2 ) = C A ρ v v v v 2 + v h 2 {\displaystyle {\begin{aligned}d_{v}&=CA\rho {\frac {v_{v}}{\sqrt {v_{v}^{2}+v_{h}^{2}}}}(v_{v}^{2}+v_{h}^{2})\\&=CA\rho v_{v}{\sqrt {v_{v}^{2}+v_{h}^{2}}}\end{aligned}}} d h = C A ρ v h v v 2 + v h 2 ( v v 2 + v h 2 ) = C A ρ v h v v 2 + v h 2 {\displaystyle {\begin{aligned}d_{h}&=CA\rho {\frac {v_{h}}{\sqrt {v_{v}^{2}+v_{h}^{2}}}}(v_{v}^{2}+v_{h}^{2})\\&=CA\rho v_{h}{\sqrt {v_{v}^{2}+v_{h}^{2}}}\end{aligned}}} ここでCとは抗力の係数であり、Aは断面積、またρとは空気密度である。これらの方程式は水平方向の速度が水平の抗力を増大させ、また垂直方向の速度が垂直の抗力を増大させることを示す。こうした影響は以下の内容では無視される。 まず最初に爆弾の垂直方向の動きのみを考える。この方向では、爆弾は2種類の主要な力、重力と抗力に従うこととなる。重力は常に変わらず作用し、抗力は速度の二乗で変化する。航空機が等速で水平飛行する場合、爆弾の当初の垂直方向の速度はゼロであり、垂直の抗力もゼロを意味する。重力は爆弾を下方へと加速し、その速度が増大するにつれて抗力も増大する。どこかの時点で(速度と空気密度が増大するにつれて)抗力は重力と釣り合い、爆弾は終端速度に達する。空気抵抗は高度と空気密度につれて変化し、終端速度は爆弾が落下していくと減少する。一般的に爆弾は、空気密度の高くなる低高度に行くにつれて遅くなる。ただしその関係は複雑である。 次に水平方向の動きを考える。懸架装置を離れてすぐ、爆弾は航空機の前方移動する力にともなって運ばれる。この動きは抗力によってのみ打ち消され、前進速度は遅くなり始める。前方への速度が遅くなるにつれて抗力も低下し、減速も減って行く。前方への速度が完全にゼロまで打ち消されることは無い。もし爆弾が抗力に関係しないのであれば、その弾道は純粋な放物線となり、容易に計算可能な地点「真空射程」に着弾する。実際には抗力が働き、真空の場合の距離よりも短い地点に着弾させることになり、またこの投下場所と着弾地点との間の現実での距離が、単に射程として知られている。真空射程と実際の射程との差は「追従量」として知られている。爆弾は落ちるにつれて航空機のあとを追ってくるように見えるためである。追従量と射程の差は爆弾の個々の空力特性によって異なり、通常、爆撃時の射程を個々に測る必要がある。 運動を垂直と水平の成分に完全に分ける際の主な問題は終端速度である。相対風の中の爆弾はふつう、爆弾後方の尾翼を用い、頭部が前方を指して飛翔するよう設計されている。抗力は任意の瞬間のいつでも爆弾の迎え角に依存する。もしも爆弾が低空で投下され、爆弾の速度が終端速度に達しないなら、その速度はおおよそ爆弾がどのくらい長く落下したかによって明らかになる。 最後に風の影響を考える。風は爆弾に抗力として働き、風速の関数となる。これは普通、爆撃機の速力や終端速度のわずか一部であるために、爆弾が高高度で投下され、この小さな影響が爆弾の弾道に目立った影響をあたえる時にのみ要因となる。弾着点と無風の場合に落ちたであろう場所との間の差は、「偏流偏差」として知られる。
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