熾烈な受験戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 07:02 UTC 版)
詳細は「スプーン階級論」を参照 受験戦争を勝ち抜いて有名大学を卒業しても就職できず、収入が安定しない若年層が増え続けている。「最低賃金引き上げ」「労働時間短縮」を受けて企業は韓国国内に投資しなくなったため、若年層が影響を受けて最悪の青年失業率になっている。2017年から2018年にかけて日本の大卒就職率は98%なのに対して、韓国は67.7%である。就職放棄を含む実質的な失業状態にある人を含んだ青年層の体感失業率、アルバイトをしながら就職活動中の人や入社試験に備える学生などを含めた体感失業率は24%に達している。中央日報は「主要先進国が活況を呈しながら、韓国の若者だけ前例のない求人難を経験している」と嘆いている。20歳を過ぎた子を親が扶養するケースも増加しており、50代の毎月の支出の25%が子どもへの仕送りが占めているとする調査結果もある。韓国の労働市場は正規雇用は25%、残り75%は非正規など低収入の仕事であるため、75%の側にならないために履歴書に書ける項目を増やす「スペック」を積み、入社後も出世競争もある超競争社会である。苛烈な競争社会で、受験戦争を勝ち残って一流大学を卒業して大企業に就職するのが理想とされている。 サムスン電子やLG電子、現代自動車など大手財閥系企業に就職できる者はわずかであり、大手財閥系企業でなければ脱落者とみなされかねない空気さえある。2016年には20代の鬱病患者が2012年よりも22.2%増えた。2018年時点で20代の約40万人が失業者である。「就職無経験失業者」は2018年時点で10万4000人で、20、30代が8万9000人で85.6%を占める。雇用経験がまったくない若い求職や、就職できても質の低い仕事に追いやられるものが増加している。 そのため、日本への就職希望者が増加している。2016年には日本で就職した韓国人は2008年比で2.3倍になった。これは日本のような中学あるいは高校受験が全く存在せず、大学入学の18歳まで一切ふるいにかけられることがほとんどの韓国国民にまったくないことも、精神を病む一因とされている。 個人の能力よりも親の財力がものをいう韓国社会の様相は「スプーン階級論」というスラングで表されている。2015年12月にソウル大学の学生が自殺した際、遺書に「生存を決めるのは箸とスプーンの色だった」と書き残していたと報じられ、「最高学府のソウル大学に合格するだけの能力があっても自殺に追い込まれた」というニュースが韓国の青年層に大きな衝撃を与えた。 2020年の大学入学定員は34万人だが、2020年の新生児は27万人であったため、必然的に2039年には定員割れが出現する。新生児の数が大学入学定員を大きく数万人単位で下回るケースは、過去の人類史においても前例がない。
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