灰白質
灰白質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 20:36 UTC 版)
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![]() 脊髄神経の構造 (脊髄と脳では白質と灰白質の位置関係が逆になっていることに注意) | |
ラテン語 |
灰白質:substantia grisea 白質:substantia alba |
英語 |
灰白質:Grey matter 白質:White matter |
灰白質(かいはくしつ、英語: Grey matter)とは、中枢神経系の神経組織のうち、神経細胞の細胞体が存在している部位のこと。これに対し、神経細胞体がなく、有髄神経線維ばかりの部位を白質(はくしつ)と呼ぶ。
中枢神経系(脳と脊髄)の神経組織は、神経細胞とグリア細胞とによって構成されている。グリア細胞は、どの部位にも普遍的に存在している。一方、神経細胞に関しては、神経細胞体から伸びて張り巡らされている神経線維(軸索)は、どこでも普遍的に存在するものの、神経細胞体そのものが存在する部位は限られており、特定の部位に固まって存在する傾向がある。この部位を灰白質と総称する。神経細胞体の集まり方は、場所によって異なっているので、灰白質の形も様々である。例えば、大脳や小脳ではその表面を薄く覆う様に存在している(皮質)。これら皮質では、神経細胞体は層構造をなして並んでいる。一方、間脳、脳幹、脊髄などでは、その表面には灰白質は存在せず、内部に、神経細胞体が多数の島状に分かれた灰白質のかたまりをつくる。これらひとつひとつのかたまりを、神経核(しんけいかく)と呼ぶ。神経核は、ひとつひとつに固有の名称が存在し、特定の機能に関与している神経細胞が集まって存在する部位である。
灰白質、白質の名前の由来は、新鮮な脳組織の断面を肉眼的に観察したとき、白質は明るく光るような白色をしているのに対し、灰白質は、白質よりも色が濃く、灰色がかって見えることによる。これは、有髄神経線維のミエリン鞘の主成分として大量に存在しているコレステロール[1][信頼性要検証]やミエリンが白い色をしているためで、白質には、灰白質に比べて、有髄神経線維が多いからと考えられている。
なお、脳にコレステロールが多く含まれるのは、神経細胞から伸びたコレステロールで被われたミエリン鞘によるものであり、神経線維の絶縁性とミエリン鞘の切れ目からのジャンプにより信号伝達を高めているものである[1]。
脚注
- ^ a b コレステロールの体内での働きは? - よくある質問 (財団法人日本食肉消費総合センター)
関連項目
外部リンク
灰白質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 14:46 UTC 版)
2014年のメタ分析では、男女間の灰白質量の差が認められた。その結果、差が測定された部分では、男性は扁桃体、海馬、前傍海馬傍回などにおいて灰白質量が多く、女性は右前頭極(英語版)、下前頭回、中前頭回、前帯状回、外側後頭皮質などで灰白質量が多くなっていた。また、密度については、男女間でも違いが見られた。男性では、左扁桃体、海馬、小脳の右第六小葉(英語版)などが密集している傾向があり、一方で女性は左前頭極が密集する傾向があった。これらの違いの重要性は、側性化(男性は左半球でより多くの容量があり、女性は右半球でより多くの容量がある)と神経学的、そして精神医学的条件の違いを探るために、これらの知見の可能性を利用する方法の両方にある。
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「灰白質」の例文・使い方・用例・文例
- 短い樹枝状結晶のある、また、灰白質に分岐する長い軸索か短い軸索のどちらかがある大脳皮質のニューロン
- 灰白質に見られる一種の星状細胞
- 大部分の中枢神経系の灰白質を形成し、神経細胞体が埋め込まれている、無髄の軸索、樹枝状結晶、およびグリアブランチの複合ネットワーク
- 各大脳半球の白質内にある、灰白質の大きな薄層状の核
- 大脳皮質を形成する無髄ニューロン(灰白質)の層
- 各大脳半球低にある皮層下の灰白質のいくつかの塊で、随意運動の調整にかかわりがあると思われる
- レンズの核心に隣接する頭脳の灰白質の層
- 視床腹側部の尾ひれ部に位置する灰白質の楕円形の塊
- 中脳の濃く色素沈着した灰白質
- 脳や脊髄の構成部分としての灰白質
- 大脳皮質という,大脳をおおう灰白質の層
灰白質と同じ種類の言葉
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