火力発電の活用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 00:16 UTC 版)
「大阪市営電気供給事業」の記事における「火力発電の活用」の解説
電気局では供給事業の所要電力は原則として購入電力にて賄うとしていたが、購入電力を経済的に利用するために自局火力発電も適宜併用した。火力発電所には市電用として建設された九条第一発電所・九条第二発電所と、大阪電灯から買収した安治川発電所の3か所があった。3か所のうち九条第一発電所が最古で1908年(明治41年)4月竣工・1912年(明治45年)3月増設。九条第二発電所は1921年7月に着工、1923年(大正12年)10月にまず第1期工事が竣工し、その後1927年(昭和2年)6月に第2期工事、1930年(昭和5年)12月に第3期工事が竣工して出力30,000kWの発電所となった。安治川発電所は旧大阪電灯安治川西発電所(出力12,000kW)であり、1910年(明治43年)から翌年にかけて完成している。 大阪市の供給事業は電灯供給が主体であることから、1日の負荷の増減は、日没時間の若干前より急増し、初夜に最大となって午後11時頃に急減、その後やや緩慢に減少して未明からは若干の増減を繰り返す、という形で推移する。さらに冬季、特に1月が需要のピークで、反対に7・8月に需要が最少となるのを基本とする。従って年単位で見ればピーク需要(尖頭負荷)が出現するのはごく短い時間ということになる。こうした負荷率が著しく低い電力を外部から購入する場合、条件が不利になるのが常であり、実際に購入電力の主力である大同電力からの受電は比較的高料金であった。 購入電力費を節約するためには、高負荷率を維持するとともに過負荷を絶対に出さないという操作が必要であったが、後述のように大同電力からの受電増加が毎年4月に設定されていたため、これは困難であった。冬季から夏季にかけて負荷が減少する中での受電増であり、夏までに供給増で消化できる程度の受電増に留めると冬季に不足となり、反対に冬季にあわせた受電増とすると夏に過剰となるためである。この矛盾を解消させる方法として電気局では火力発電を併用するという手法を採用し、4月の受電増を可能な範囲で圧縮する一方で冬季には火力発電所を運転して不足を補う、という運用を実施した。このように火力発電を尖頭負荷発電所として活用した結果、購入電力の負荷はある程度平均化され、購入価格は低廉となった。
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