激甚災害の指定基準
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「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」の記事における「激甚災害の指定基準」の解説
激甚災害指定には、大きく分けて以下の2種類が存在する。 全国規模で指定基準を上回る規模となった災害に対して指定される激甚災害(通称「本激」) 市町村単位で指定基準を上回る規模となった災害に対して指定される激甚災害(局地激甚災害、通称「局激」) 激甚災害の指定は中央防災会議が定めた「激甚災害指定基準」、「局地激甚災害指定基準」に基づいて判断される。 これによれば、例えば本激指定を受けることの出来る主な要件として、以下のものが挙げられる。 公共土木施設災害復旧事業において、次のいずれかの要件にあてはまること「全国の査定見込額>全国の標準税収入×0.5%」を満たすこと 「全国の査定見込額>全国の標準税収入×0.2%」を満たし「都道府県での査定見込額>都道府県の標準税収入×25%」を満たす都道府県があること 「全国の査定見込額>全国の標準税収入×0.2%」を満たし「市町村での査定見込額>都道府県の標準税収入×5%」を満たす都道府県があること 農地災害復旧事業において、次のいずれかの要件にあてはまること「全国の査定見込額>全国農業所得推定額×0.5%」を満たすこと 「全国の査定見込額>全国農業所得推定額×0.15%」を満たし「都道府県での査定見込額>10億円または都道府県の農業所得推定額×4%」を満たす都道府県があること また、局激指定を受けることの出来る主な要件として、以下のものが挙げられる。 公共土木施設災害復旧事業において「市町村の査定事業費>市町村の標準税収入×50%」を満たすこと 農地災害復旧事業において、「市町村の査定事業費>市町村の農業所得推定額×10%」を満たすこと 本激が災害に対してのみ指定される(地域を特定しない)のに対し、局激は災害と(被災規模及び標準税収入等を勘案した)対象地域の両方を指定する点に違いがある。また、上記のように激甚災害の指定基準は対象内容によってそれぞれ異なるため、激甚災害指定が行われたとしても、必ずしもすべての財政援助措置が図られるとは限らない。局激の指定は被災規模(災害査定事業費の確定値)及び被災地の標準税収入等を勘案する必要があるため、年度末に一括して指定されることが通例であったが、近年局所的に激甚な災害が発生する事例が多発することを鑑み、平成19年(2007年)から、災害発生時点で本激の要件を満たさないものの局激の要件を満たすことが明らかな場合(具体的には、当該市町村の査定見込額が局激指定基準の2倍を上回る場合)については年度末を待たずに速やかに指定を行えるように指定基準が改正された(早期局激指定)。 なお、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で千葉県浦安市を始め千葉県や茨城県などで深刻な被害が発生した液状化現象については激甚災害法の適用外である(正確には、地震を異常気象とした被害としての認定はあるものの、液状化被害そのものに対する具体的指標がない)。このため、東祥三内閣府副大臣(防災担当)らが同年4月26日に千葉県・茨城県の被害状況を視察に訪れた際に、茨城県の上月良祐副知事や稲敷市の田口久克市長、千葉県香取市の宇井成一市長が緊急要望を行う 状況であったが、これを受ける形で東副大臣が衆議院総務委員会で「実態を踏まえながら、できるだけ早く基準の見直しを決断したい」と答弁する と共に、枝野幸男官房長官は同年4月27日の記者会見で、「激甚災害法等の適用の範囲をどういう風に広げられるのか広げられないのか、できるだけ対応できる方向で、ということで実務的な検討が進んでいる」と述べ、激甚災害法の見直しにより液状化被害に対する救済措置をとる方向であることを示した。
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