湖の場面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 07:59 UTC 版)
「高慢と偏見 (テレビドラマ)」の記事における「湖の場面」の解説
この翻案は第4エピソードの「湖の場面」と呼ばれる箇所で有名である。この場面では、服を着たままのダーシーがペンバリーの湖で泳いで水からあがった後、偶然エリザベスと遭遇する。多くの批評家はこの場面の魅力をファースのセックスアピールのたまものであると考えている。アンドルー・デイヴィスはこの場面により、そういう意識はなかったにもかかわらず「オースティンが今までの着ているものを脱ぐのではなく、新しい服装をまとって登場する」ことになってしまったと考えている。デイヴィスがこのオースティンの原作小説にはない場面を書いた時、エリザベスとダーシーの間の性的な緊張関係については考えておらず、「ダーシーがびしょ濡れでとても人前に出られないような服装ながらも尊厳を取り繕おうとするおもしろおかしい瞬間」を書くつもりであった。BBCはデイヴィスのダーシーを全裸にさせるという案に反対したが、プロデューサーはダーシーが下着のパンツ姿で出てくるという代替案は間が抜けて見えるとして却下した。この場面はファースにリネンのシャツ、ブリーチ、ブーツを着せて撮影された。ライム・パークではレプトスピラ症の感染リスクがあったため、空中の非常に短いショットのためにスタントマンが雇われた。下着姿の短い場面は西ロンドンのイーリング・スタジオの水タンクでファースを起用して別に撮影された。 『ガーディアン』はこの湖の場面を「英国テレビ史におけるもっとも忘れがたい場面」と呼んでいる。この場面はチャンネル4が1999年に放送した「テレビの瞬間トップ100」にも選ばれた。ファースが出演する他の作品でもこの場面に対する言及が見られるようになり、脚本家のリチャード・カーティスは楽屋落ちのジョークとして『ラブ・アクチュアリー』と『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』でファースが演じる登場人物を水に落としている。2007年の映画『聖トリニアンズ女学院』では、ファース演じる人物はかつての恋人に会う前に濡れたシャツ姿で噴水から現れた。2008年のITVのテレビ番組『ジェイン・オースティンに恋して』では、現代のヒロインがこの瞬間をまねるためダーシーを言いくるめて湖の場面をまねさせようとするところを描いている。 シェリル・L・ニクソンはダーシーが水に飛び込む場面は「ダーシーの感情の広がりを明らかにするもの」であり、「自然とのロマンティックなつながり、自分自身になってすべてを『脱ぎ捨て』られる場所である故郷の家への称賛、みずからの心にある社会的偏見の洗浄…そしてエリザベスへの愛の再生」を示すものだと示唆している。リンダ・トルーストとセイア・グリーンフィールドはこの場面について「オースティンのダーシーについてよりは、ここ10年の間我々が抱いている肉体的完璧さへの執着とサービスカットのようなヌードを容認する傾向について多く語ってくれるものであるが、それでもこの映像はテクストに新しい一面を刻みつけた」と語っている。
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